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FIN/SUM WEEK 2017 レビュー

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仮想通貨による資金調達「ICO」にルール作りを

FIN/SUM WEEK 2017 討論会「仮想通貨戦争 どんな終わり方を迎えるか」より

フィンテックは金融業にとってチャンス

シラー 仮想通貨は金融業界にどんなインパクトを与えるのか。日本では脅威となるのか、チャンスとなるのか。

加納裕三氏(ビットフライヤー代表取締役) 加納裕三氏(ビットフライヤー代表取締役)

加納 欧米と日本のフィンテックの進展は異なる。日本の場合、スタートアップ企業と金融業界が手を組んで進んでいる。銀行の主な機能のうち、決済機能はフィンテックで新しいものに変わっていく可能性があるが、信用創造機能は長年のノウハウが必要など、なかなか難しい。フィンテックが進む部分とそうでない部分で住み分けつつ融合していくだろう。

沖田 フィンテックはチャンスだと感じている。特に、中国では日本が追いつけないほどの進展ぶりになっている。フィンテックが銀行に与える影響で、ビットコインなどの決済ばかりが注目されているが、預金や貸し出しなどの業務こそがフィンテックで変革が求められる分野だ。日本で普段に銀行と接点を持つのはATM(現金自動預け払い機)で現金を引き出すくらいではないか。実は、日本の銀行業界は消費者との接点がほとんどない。フィンテックで接点が増えるようになれば、金融業界は大きく変わりそうだ。

沖田貴史氏(SBIリップル最高経営責任者=CEO) 沖田貴史氏(SBIリップル最高経営責任者=CEO)

マトビーブ スタートアップ企業と銀行が協調している点で日本のフィンテックはユニークだ。英国はどちらかというと仮想通貨には否定的で、ブロックチェーン技術に注目が集まっている。

サバ 一般の人がビットコインを理解できるよう、もっと啓蒙が必要だ。ブロックチェーンにより、どうして安価で安全になるのかを知らせていかなければならない。

キャサリー フィンテックの中心技術であるブロックチェーンは社会のインフラになっていき、見えなくなっていく。これまでコンピューター技術でインフラになったものはいくつもあるが、ブロックチェーンもいずれそうなっていく。我々は歴史の転換点にいると言える。ただし、一般の人がブロックチェーンを使用するためには、技術がもっと直感的になる必要がある。

マトビーブ ビットコインは仮想通貨の1つのブランドであり、ブロックチェーンはもっと複雑な概念であるため、啓蒙活動や教育は困難で時間がかかるだろう。

「相互運用性」で未来を拡げるブロックチェーン

シラー ブロックチェーンの金融業界以外の用途としてサプライチェーンでの応用などが指摘されているが、将来はどう広がっていきそうか。

パベル・マトビーブ氏(ワイレックスCEO) パベル・マトビーブ氏(ワイレックスCEO)

キャサリー ブロックチェーンによる新しい経済圏をつくっていくのではないか。ブロックチェーンにより、個人のデータがお金になる可能性さえある。ただしブロックチェーンのエコシステムはまだ発展途上段階であり、今後は何らかのクラッシュが発生し、その後に生き残っていく企業が現れるだろう。

サバ ブロックチェーンは先進国よりも発展途上国で一気に広がる可能性がある。例えば、発展途上国では土地の所有・登記が難しいケースがあるが、これをブロックチェーンで解決できる。相互扶助の生命保険などの分野も有望だ。

加納 ブロックチェーンには今まで考えられなかった市場があると感じている。ブロックチェーンの特徴の1つは相互運用性で、中身が異なるブロックチェーンでも1つの「トランザクションID」でつながることが可能だ。安全性の面でインターネットはおカネを扱うには不適だが、ブロックチェーンと一緒になることで300兆円以上の市場になるかもしれない。

沖田 簡単に言えば、人類を幸せにするのではないか。インドネシアのスタートアップ企業が手がけるブロックチェーンを使った事業は、確実に雇用を生んでいる。行政や電力など他のインフラとブロックチェーン技術を結び付けることで確実に社会は良くなる。

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