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リクルートのすごい構"創"力

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「神速」で減退の兆しつかみ、手を打つ

ボストンコンサルティンググループ日本代表 杉田 浩章氏

データを使い「神速」でS字を生む

 小さなS字カーブを生み出し続けると、それはやがて、大きなS字を描くようになる。リクルートが、そのための「てこ」として活用しているものの1つに、ビッグデータの活用がある。コールセンターや営業という、人対人のコミュニケーション現場でもそれを実現している。

衰退の兆しを見逃さず手を打つ 衰退の兆しを見逃さず手を打つ

 旅行や飲食、美容など、日常消費領域に関わるサービスを提供する、リクルートグループの事業会社、リクルートライフスタイルのネットビジネス本部では、目標とするスピードを、「爆速」の上を行く「神速」と呼ぶ。

 改善策は、できるだけ現場の情報を元にして実施するが、それがどれくらいの効果につながるかは、実際試してみるまでわからない。それであれば、とにかくスピーディーに数多く実施して、「当たり」の施策を増やすしかない。

 データ活用による事業改善のプロジェクトを「神速」で推進し、効果を上げている例の1つが、前出の「Airレジ」だ。

 Airレジを推進するうえで重要なのは、お店の利用初心者がきちんとAirレジを使えるよう、きめ細かいサポートをすること。ネットビジネス本部では、利用者の利用状況をデータから推測し、「この利用者はスムーズに使いこなせている」「この利用者はまだ試験的な利用で、Airレジの使い勝手を試している段階だ」という傾向を分析。タイプに応じたサポートをコールセンターから行うようにしている。

 また、データから「この利用者は、使い方に引っ掛かりを感じて、離脱しそうだ」という兆候を素早くつかみ、コールセンターから迅速にサポートを行って離脱を防ぐなどの行動にもつながっている。

 これらの施策により、Airレジを使い始めてから利用を継続する利用者の割合が、9カ月間で約2倍に伸びた。課題の抽出からデータ分析、仕組み作り、現場での実施までを1週間程度で実施し続け、半期で150件以上の改善施策を行ったという。

 Airレジの例のほかにも、営業担当者の1日当たりの訪問件数を2倍に増やすことができたという取り組みもあった。これは、データサイエンティストが営業担当者に同行して発見した課題を解決し、実現した。

 現場の営業担当者は、例えば営業訪問のアポと次のアポの間が1時間空くことがあっても、別の訪問を入れるという行動につながっていなかった。「まわりにどんな顧客がいるのか手元でわからない」「もしわかっても、その顧客はこの時点で訪問してもよいのかがわからない」などが理由だった。

 このためネットビジネス本部では、地図上に、その営業担当者がどこにいるのか、まわりにどんな顧客がいるのか、それぞれ営業上のステータスはどうなっているか、などを表示して一目でわかるシステムを、わずか数日で作り上げた。これにより、営業担当者はより効率的に営業活動を行うことができるようになったという。

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