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リクルートのすごい構"創"力

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「神速」で減退の兆しつかみ、手を打つ

ボストンコンサルティンググループ日本代表 杉田 浩章氏

 リクルートが、多くの新規事業を世に出し、継続的に収益を上げ続けているのは、一握りの「天才」たちの力によるものでもなければ、偶然の産物でもない。できるだけたくさんの、新規事業の「種」を見いだし、それを高速で磨き上げながら市場に出すための仕組みや、市場に出た後も事業の衰退を許さず、継続的に成長させていく手法を、しっかりと社内に根付かせ、愚直に、しつこく実行しているからだ。仕組みやフレームワーク=「構え」でアイデアを事業へと創り上げていく。こうしたリクルートの「構"創"力」について解き明かしていく。

小さな「S字カーブ」を積み重ねる

 ビジネスの成長は、まっすぐな線を描いて伸びていくわけではない。アルファベットの「S」を斜めに倒したような「S字カーブ」を複数重ねないと、成長は続かない。なぜならS字カーブは、最初はゆるやかに伸び、次に急激に成長し、また次第に伸びがゆるやかになって限界点に達するという線を描くからだ。S字が1つであれば、そこで成長は止まってしまう。S字を次々と生み出し続ける必要があるのだ。

 S字カーブは、すべて過ぎ去ってから過去を振り返り、初めて「S字だった」とわかるものなので、その渦中にあると今がどの状態にあるかはわからない。

 一番危険なのは、S字カーブの最終段階、伸びがゆるやかになって限界点に達しようとしているときだ。伸びが減速している予兆を素早くつかみ、次の一手を打って新たなS字を生み出さないと、下降の一途をたどってしまう。

 アクセルを踏み込んでいるのに成長スピードが上がらない、その兆しをつかむうえでも、縦ぐるぐると横ぐるぐるが威力を発揮する。現場とマネジャーや経営層、営業部門や制作、エンジニア部門などの間でぐるぐる行ったり来たりしながら情報が行き交う中で、不の予兆をいち早くつかむことができる。

 衰退は、さまざまな要因によって生まれる。

 競合の登場により、顧客が離脱していったり、価格競争がシビアになることもある。新しいテクノロジーの登場で、相対的にリクルートが提供するサービスの魅力が下がることも考えられる。

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