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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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意思あるところにAIを生かす道は開ける

第9回 エクサウィザーズの石山洸社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

未来に必要になる「4つのS」

長島 最後に、石山さんはいつも楽しそうに見えます(笑)。いつも進化しているというか、自分の中にウィザードが増えている。どうすれば、ウィザードをどんどん取り込めるようになりますか。

石山 私ができているというわけではありませんが、最近、未来に必要な4つのケイパビリティー(能力)を考えたのでご紹介しましょう。本邦初公開です(笑)。4つとも頭文字がSなので4S理論と名付けました。1つ目はセンス。社会課題をセンシングする力です。簡単に言うと、取材する力ですね。課題をヒアリングする力を若いうちからスキルとして身に付けることが、すごく重要になると思っています。企業が顧客の課題を見つけることにも通じます。

 2つ目はサイエンス・フィクション。取材した内容をもとに、こうすれば解決できるかもしれないというストーリー、すなわち仮説(フィクション)を組み立てる能力です。ただし、その仮説に説得力を持たせるにはサイエンスの裏付けが不可欠です。ですから、物語を作る能力と同時に、STEM(科学・技術・工学・数学)を身に付ける教育が重要となります。

 3つ目はシェア。組み立てたフィクションを広げる能力です。いくら思いは強くても、やっている活動が小さな範囲にとどまっていては、課題を解決することはできません。ただ、最近の若い人の中にはSNSでバズらせる、つまり拡散させることは得意だが、実務能力が低い人も多い。ですから、4つ目はシフト。パラダイムシフトを実現させるための実行力が求められます。

長島 それ全部できる人っているのかなあ(笑)。特に難しいのはサイエンス・フィクションとシフトですね。前者はいろんな技術を理解して、組み合わせるためには、そこそこの手ざわり感、つまり机上の学問だけでなく、実践に基づく知恵がないと難しい。シフトはリテラシーも世界観も違う人たちのベクトルを合わせないといけない。

石山 シフトするには、魔法力の高そうな人を集めて、その人たちに動いてもらう方策を考えないといけませんね。

長島 人を動かすには、相手の受容性を高める必要もありますが、何か実践している方法はありますか。

石山 リクルート時代にやっていたのは、相手を見た瞬間に4つのタイプに分けるという方法です。組織に対する帰属性の大きさを横軸に、イノベーションに対する志向性を縦軸にした4象限を作り、そこに当てはめるわけです。4つのタイプに応じて、100通りくらいの対応方法を考えてコミュニケーションをしていましたね。

 それと、私の趣味はピアノの即興演奏で、ドラムとベースをAIが自動演奏するピアノトリオを楽しんでいます。即興というのはインプットとアウトプットの距離を極限まで近づけることなんですね。同じように、人の話を聞くときにも、同時にアウトプットすることをイメージしています。これはセンシングの訓練になると思いますよ。

長島 今日は生きていくヒントがいっぱい詰まったお話をうかがいました。どうもありがとうございました。

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