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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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意思あるところにAIを生かす道は開ける

第9回 エクサウィザーズの石山洸社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

長島 なるほど。よくAIが人に取って代わると言いますよね。私は大嫌いな言葉ですが。そうではなくて、AIコーチングは達人の知恵を一般の人に移転し、人の能力を高められるというわけですね。

AIで雇用機会は増やせる

石山 洸氏(いしやま こう)<br>

エクサウィザーズ 代表取締役社長。<br>

2004年中央大学商学部卒業、2006年東京工業大学大学院 総合理工学研究科 知能システム科学専攻修了、リクルートホールディングスに入社。2014年メディアテクノロジーラボ所長に就任。2015年にAI研究所であるRecruit Institute of Technologyを設立し、初代所長に就く。2017年デジタルセンセーション取締役COOに就任。2017年10月より現職。静岡大学客員教授、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員も兼ねる。 石山 洸氏(いしやま こう)
エクサウィザーズ 代表取締役社長。
2004年中央大学商学部卒業、2006年東京工業大学大学院 総合理工学研究科 知能システム科学専攻修了、リクルートホールディングスに入社。2014年メディアテクノロジーラボ所長に就任。2015年にAI研究所であるRecruit Institute of Technologyを設立し、初代所長に就く。2017年デジタルセンセーション取締役COOに就任。2017年10月より現職。静岡大学客員教授、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員も兼ねる。

石山 はい。もともと、私が興味を持ったのはロボティクス・オートメーションでした。人をロボットに置き換えると言いますが、すべて置き換わるわけではありません。うまくいって8割くらいだと見ています。介護はもっと置き換えが難しいでしょう。

 置き換えについて、ジョブ(仕事)とタスク(任務)という概念で考えてみましょう。1つのジョブを行うには、10個のタスクをこなす必要があるとします。10個のうち、8個をAIがこなすようになった場合、これはAIが人の仕事を奪うことになるでしょうか、それとも生み出すことになるでしょうか。

長島 単純に考えると、人の仕事が8個分失われたように見えますが。

石山 そうですね。しかし、今まで10個のタスクをこなせないとそのジョブに就けなかったのが、2個のタスクだけでいいとなれば、2個しかできなかった人も働けるようになります。つまり、AIが雇用機会を増やすわけです。さらに、この2個のタスクを身に付けるためにAIがコーチングすれば、働ける人はもっと増えるでしょう。ロボティック・プロセス・オートメーションに加え、これからはロボティック・プロセス・エデュケーションの世界が生まれるわけで、その普及に力を入れていきたいと思っています。

長島 面白いですね。これまで企業ではOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で技能を継承してきましたが、少子高齢化で教える人がどんどん減っています。AIはいつでも先生になれるわけで、企業にとってのメリットは大きいでしょうね。

石山 ビジネス機会の拡大という恩恵もあります。介護の世界で言うと、介護士が不足しているので、一軒一軒回って介護の仕方を教えるニーズは大きいのですが、現状では人的にもコスト的にも成り立ちません。しかし、AIを使ってOJTができれば、ビジネスとして成り立つ可能性は高まります。

 もう一つ、「介護AI」の話をいろんな方にすると、皆さん「それ、うちでも応用できる」とおっしゃいます。例えば、トップ営業マンのノウハウをAIが学んで新入社員に教える。これは実際、当社で始めています。面白いのは、トップ営業マンにはゴルフ好きの方が多く、ゴルフが一番うまい人の画像もAIが学習して教えています。AIが教えることには拒否反応を示す人も、ゴルフから入れば受け入れやすくなります。

長島 遊ぶことまでAIがサポートしてくれるのはいいですね。

石山 ベストセラーになった『ライフシフト』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著)は、人生100年時代を生きるには、遊ぶ・学ぶ・働くという3つの要素を、人生の時間軸に沿って行うのではなく、同時に進めていく必要があると説いています。学ぶ・働くについては、まさにAIコーチングが関わってきますし、遊ぶこともAIがサポートしてくれれば、人生はさらに豊かになりますよね。

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