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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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意思あるところにAIを生かす道は開ける

第9回 エクサウィザーズの石山洸社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

 日本型のイノベーション=「和ノベーション」を実現していくには何が必要か。ドイツ系戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーの長島聡社長が、圧倒的な熱量を持って未来に挑む担い手たちを紹介していくシリーズ。第9回は介護を中心にAI(人工知能)の利活用を進めるエクサウィザーズの石山洸社長です。

介護のためのAIコーチングを開発

長島 聡氏(ながしま さとし)<br>

ローランド・ベルガー代表取締役社長、工学博士。<br>

早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、ローランド・ベルガーに参画。自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くの プロジェクトを手がける。特に、近年はお客様起点の価値創出に注目して、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に従事。自動車産業、インダストリー4.0/IoTをテーマとした講演・寄稿多数。近著に「AI現場力 和ノベーションで圧倒的に強くなる」「日本型インダストリー4.0」(いずれも日本経済新聞出版社)。 長島 聡氏(ながしま さとし)
ローランド・ベルガー代表取締役社長、工学博士。
早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、ローランド・ベルガーに参画。自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くの プロジェクトを手がける。特に、近年はお客様起点の価値創出に注目して、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に従事。自動車産業、インダストリー4.0/IoTをテーマとした講演・寄稿多数。近著に「AI現場力 和ノベーションで圧倒的に強くなる」「日本型インダストリー4.0」(いずれも日本経済新聞出版社)。

長島 石山さんは学生時代からAIの研究に取り組み、リクルート時代は研究所のトップも務められました。エクサウィザーズは、石山さんが取締役COO(最高執行責任者)を務めていたデジタルセンセーションと、AIベンチャーのエクサインテリジェンスが合併し、10月1日に発足したばかりの会社ですね。今回は石山さんの目指すAIと人間が協働する社会の姿や、ご本人の熱い情熱がどこから生まれるのか、などをお聞きしたいと思っています。まず、エクサウィザーズはどんな会社なのか、ご紹介していただけますか。

石山 エクサとは10の18乗のことで、ウィザードは魔法使い、あるいはコンピューターの技術に精通した達人のことを指します。私たちが目指すのは、コンピューターに限らず、あらゆる分野の達人が協力して世の中を良くしていく、大きな社会課題に向き合っていく会社です。いま、日本が抱える大きな課題の1つは超高齢化社会をどう乗り越えていくか。そこで、介護を中心にAIを活用したソリューションの提供を進めています。さらに、介護以外の分野でも様々な現場でAIの利活用を促進していきたいと考えています。

長島 石山さんはデジタルセンセーションでもAIを使った介護の高度化に取り組んで来られました。そもそも、どんなきっかけでAIと介護の分野に関わるようになったんでしょう。

石山 もともと大学の学部は文系だったのですが、大学院から理転して人工知能の研究を始めました。その後、入社したリクルートでは紙の雑誌からデジタルメディアへの転換に携わり、データ分析のツールとしてAIを取り入れました。そして現在、弊社の顧問でもあった「AIの父」と言われる故マービン・ミンスキー氏の晩年の研究を継承する形で、介護を中心に超高齢化社会の中でAIをどう活用するかを日々考えています。気が付けば、自分→企業→社会と、順番にAIを取り入れることがライフワークになってきましたね。

長島 具体的なアプリケーションとして、介護の世界でAIをどう使っているのでしょう。

石山 AIが人間の知能を超える「シンギュラリティ」が起きると言われるのが2045年。そのころ、日本は50歳以上の人口が6割に達し、介護士が全く足りなくなる事態が予想されます。誰でも介護ができるよう、学校でも教えるようになるかもしれません。国語・算数・理科・社会・介護の時代です。そうした時代にAIができることは何かと考えた時、思い付いたのが介護のためのAIコーチングでした。

長島 それはどういうものですか。

石山 介護の上手な人の動きをAIが学習し、初心者に教えるツールです。具体的には、初心者の方が介護する様子を撮影したビデオを見て、まずは介護の上手な人が「赤ペン」のように電子ペンで修正箇所を指示します。それを何度も繰り返すうちにAIが学習し、自動的に修正箇所を入れるようにするというものです。

 介護の手法には、フランスが発祥の認知症ケアの方法論である「ユマニチュード」を取り入れています。介護する相手の見つめ方や話し方などを体系化したもので、認知症患者が介護を受け入れやすくなると同時に、介護する側の負担感も低下する効果があります。ただ、技能を習得するには一定の時間がかかるため、AIを活用してスムーズに習得できればと考えたわけです。

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