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FIN/SUM WEEK 2017 レビュー

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「困難を乗り越えようとすることが考える力になる」

FIN/SUM WEEK 2017 アイデア・キャンプ 日経特別賞受賞者に聞く

 「FIN/SUM WEEK 2017」の「アイデア・キャンプ」では、金融機関や企業の抱える経営課題について、フィンテックの観点から、国内外の大学の経済学部や大学院で学ぶ学生らが様々な解決策を考えた。4カ国の12大学16チームから、日経特別賞を受賞した「ガルーダ・テクノロジーズ・フィンテックAI」のチームに、受賞した提案をまとめた背景などを、Fintech協会理事の北澤直氏が尋ねた。(文中敬称略)

受賞者:「ガルーダ・テクノロジーズ・フィンテックAI」チームの佐藤龍弥さん(21歳)、パウロ・ゴンザレスさん(21歳)、ガブリエル・メレンドレスさん(21歳、欠席)。
聞き手:お金のデザイン取締役COO(最高執行責任者)、一般社団法人Fintech協会理事 北澤直氏

左から受賞者の佐藤龍弥さん、パウロ・ゴンザレスさん、聞き手の北澤直氏 左から受賞者の佐藤龍弥さん、パウロ・ゴンザレスさん、聞き手の北澤直氏

ビザの発給遅れで仲間が参加できない緊急事態から発想

北澤 日経特別賞の受賞、おめでとうございます。まず皆さんの自己紹介をお願いします。

佐藤 私たちはフィリピンのマニラにある私立デ・ラ・サール大学4年生で、投資家のためのプラットフォームプログラムを提供する「ガルーダ・テクノロジーズ」というスタートアップ企業に所属しています。私は日本生まれですが、小学1年の時にフィリピンに行き、その後はずっとフィリピンで暮らしています。大学では企業経営を学んでいます。

「チームの仲間がビザ発給遅れで日本に来るのが遅れてしまい、ブロックチェーン技術を使って迅速・簡単に、ビザを発行するシステムができないかと考えました」(佐藤さん) 「チームの仲間がビザ発給遅れで日本に来るのが遅れてしまい、ブロックチェーン技術を使って迅速・簡単に、ビザを発行するシステムができないかと考えました」(佐藤さん)

ゴンザレス 私はフィリピン出身で、大学では人事管理を専攻しています。

北澤 今回受賞した事業提案、ブロックチェーン技術を使った外国人用ビザ発給システム「Be Safe」を考えたきっかけは何だったのでしょうか。

佐藤 実は、最初にブロックチェーン技術を使った不正のない履歴書システムを考えていたのですが、チームの仲間であるガブリエルがビザの発給遅れで日本に来るのが遅れてしまい、(アイデア・キャンプの審査対象である事業提案の)プレゼンに参加できないという緊急事態になってしまいました。フィリピンでは渡航ビザでも取得に数週間かかることがあります。

 そこで、ブロックチェーン技術を使って迅速・簡単に、ビザを発行するシステムができないかと考えを変えました。日本は人口減少や少子高齢化という問題を抱えている一方、海外には日本で仕事をしたいという人がいる。この2つの事柄を「Be Safe」はブロックチェーン技術を利用して簡単に手軽に結び付けられます。日本の求人情報もその中に取り込むなど、「Be Safe」はもっと拡張していくことができます。

「フィリピンの人たちはとにかく考え方がポジティブなので、フィンテックだけでなく、何でもスタートアップが人気です」(ゴンザレスさん) 「フィリピンの人たちはとにかく考え方がポジティブなので、フィンテックだけでなく、何でもスタートアップが人気です」(ゴンザレスさん)

北澤 チームの仲間がビザ取得に時間がかかり、今回のアイデア・キャンプに出場できないという事情も、プレゼンに非常に説得力を持たせる結果になりました。「Be Safe」は今回のアイデア・キャンプのテーマの1つである「地方創生」にも沿っています。人口減に直面する日本の地方には外国人労働者に対するニーズがあり、「Be Safe」を使うことで質の高い労働力の確保につながるかもしれません。技術面から見ると、提案の中でブロックチェーン技術は重要だったのでしょうか。

佐藤 グループの中でブロックチェーン技術は随分、議論しています。ブロックチェーン技術の特徴の1つである分散連結管理が安全性向上につながるほか、「スマートコントラクト」(ブロックチェーン上で契約をプログラム化する仕組み)を使えば、かなりの部分でビザ発給の自動化が可能です。人間がチェックする部分が少なくて済むので、処理が迅速になります。メリットはとても大きいと思います。

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