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都道府県格差

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意外?都会のほうが労働時間が短いワケ

橘木 俊詔 氏、造事務所

 ただし、「残業の多さ」は、平均労働時間全体のランキングとも微妙に異なります。従業員5人以上の事業所での毎月の「所定外労働時間」をみると、1位は愛知県で13.7時間、2位は福島県、3位は静岡県、4位は三重県、5位は広島県です。

 30人以上の事業所でも、1位は愛知県の16.3時間、2位は青森県、3位は広島県、4位は栃木県、5位は福島県となっています。

 福島県や青森県は、先ほど紹介したように人手不足のため所定外労働が多いという事情がうかがえますが、それ以外では、先に触れた「1人あたり県民所得」で上位の県が目立ちます。つまり、トヨタ自動車やその関連企業を多く抱える愛知県など、1人あたり県民所得の高い県は、多くお金が稼げるけれど残業も多いということでしょう。

 なお、5人以上の事業所での所定外労働時間の長さでは、東京都は6位、神奈川県は10位と比較的上位です。人口が多い大都市圏では、飲食店などのサービス業でも多くのお客が来るので、非常に多忙になるという事情が影響していると思われます。

 反対に所定外労働時間が最短なのは、総労働時間でも最短の奈良県。従業員5人以上の事業所では7.3時間、30人以上の事業所では8.5時間と愛知県の半分程度です。

 奈良県は大阪府、京都府と隣接していますが、人口は全国で30位と、都会すぎず田舎すぎないポジションといえるでしょう。結果的に、人手にも労働時間にも余裕がありそうです。

 こういったところにも、「幸福」の要素が眠っていそうです。

橘木 俊詔 監修、造事務所 編著 『都道府県格差』(日本経済新聞出版社、2017年)、「パート2 経済・労働 お金持ち県・働きやすい県はどこか」から

橘木 俊詔(たちばなき としあき)

京都大学名誉教授
1943年兵庫県生まれ。小樽商科大学卒業、大阪大学大学院修士課程修了、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D)。京都大学経済学部教授、同志社大学経済学部教授を経て、京都女子大学客員教授。

造事務所(ぞうじむしょ)

歴史・文化・宗教に造詣が深く、雑学をはじめ、生活実用まで幅広いジャンルの単行本の編集・執筆を行なう。

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