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復活したドル高・日本株高に一段の期待

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 また、前回更新の本記事でも予想したとおり、ここにきてようやく「次期FRB議長人事」の話題が市場で取り沙汰され始めている。米大統領は9月29日に次期議長候補とされるパウエル現FRB理事やウォーシュ元FRB理事らと相次ぎ会談し、その時点から「2~3週間で決める」と述べた。

 各候補者の過去の経歴や人となり、与党・共和党主流派となじむか否かなど、すでに様々取り沙汰され始めているが、ことに最有力候補の一人とされるウォーシュ氏を推すムードが高まるとすれば、彼は相当にタカ派寄りのスタンスであるとされるだけにドル買いの流れの一助となる可能性がある。

 いずれにしても、仮に今回の人事でイエレン氏続投の芽がなくなるとすれば、それは"リーマン・ショック後という1つの時代"の終焉を感じさせる出来事となろう。その"時代"に手腕を振るったのは、当時の英中銀のキング前総裁やFRBのバーナンキ前議長、ECBのドラギ現総裁など、いわゆる「MIT(マサチューセッツ工科大学)人脈の一員」とされる面々であり、この10月に辞任することを表明しているフィッシャーFRB現副議長もその一人である。

 彼らは、ともに"超ハト派"のスタンスで過去に例を見ないほど大胆な量的金融緩和策を実行し、リーマン・ショック後に一時的にも危機的な状況に陥った世界経済を見事に救った。イエレン氏はMIT出身ではないが、バーナンキ前議長から基本的な政策方針を引き継ぎ、フィッシャー副議長の手助けを得ながら丁寧に米国経済の成長の土台が再構築される過程を支えてきた。そんな面々が今、一人ひとり政策運営の場から立ち去ろうとしていることは、何やら1つの時代の終わりと1つの新しい時代の始まりを感じる。

 興味深いことに、次期FRB議長候補者のなかにユダヤ系の家庭に生まれた人物(グリーンスパン氏、バーナンキ氏、イエレン氏と歴代のFRB議長はユダヤ人)はいるものの、MITの出身者は見当たらない。それは、おそらくリーマン・ショック後に長らく続けられてきた「量的金融緩和策の時代」から「次の新しい時代」へ明らかに移行して行くことを如実に物語るものであると言えよう。

ユーロ高が一巡してドル再評価の流れへ

 なお、前回更新分の本記事ではドル(対円)相場の週足チャートに注目し、過去には62週移動平均線(62週線)と一目均衡表の週足「雲」上限あるいは下限の水準がともに重要な節目として"共演"しているケースが少なくない点、9月の相場ではそれらの節目が下値サポートとして機能する可能性が高いと思われる点に触れた。

 実際、9月の週足ロウソクは第1週こそ終値で62週線と週足「雲」下限を下抜ける結果となったものの、第2週以降は完全に持ち直し、第3週以降は終値で週足「雲」上限を上抜ける強気の展開となった。

 その一方で、9月初旬まで上げ一辺倒の展開を続けていたユーロ(対ドル)相場が調整含みの局面を迎えたことで、結果的にドルの強みが再評価される状況となっていることも見逃せない。

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