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FIN/SUM WEEK 2017 レビュー

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フィンテック、「資産形成層」拡大の契機に

3割減る老後の金融資産、拡大する格差に対応できるか ~QUICK資産運用討論会

おカネの流れを投資に向けるにはどうすればよいか?

◆「金融教育とその機会」(チャップマン氏)
◆「独立FP、顧客本位の助言に期待」(油布氏)
◆「パーソナライズ、投資の喜び、手続き簡易化など条件」(林氏)

 北澤 では、実際におカネの流れを変えるにはどうすればいいでしょうか。

 チャップマン (金融)教育、そしてその機会を与えることです。

レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長 レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長

 藤野 不労所得に対する価値観が低いせいか学校ではあまり投資を教えませんが、たとえば仮想会社を作って縁日などで働いてみる、会社を動かしてみるというような教育を始めてはどうでしょうか。株式の売買手法を身につける前に会社の生む価値を実感することが大切です。自分の会社も信じられないといういまの世の中に照らせば、会社不信イコール株式不信につながります。それから、アイデアの1つとしてファイナンシャルプランナー(FP)をアドバイザーとして活用する手があります。

 油布 最近は独立のFPも増えています。顧客本位の助言などをしてもらえれば投資家のすそ野は広がるでしょうし、その役割におおいに期待がかかります。

  個人個人のデータに基づいてパーソナライズされたやり方が示されることが条件のひとつです。自分のおカネが何か社会の課題解決に役立ったというような投資の喜びを得られるようになることも必要ではないでしょうか。印鑑への過度の依存と書面手続の多さに辟易としてしまうので、全てスマホで簡単にできるようになればありがたいですね。

 チャップマン 自分の母国であるオーストラリアの年金市場は極めて大きくなっていますが、給与の9%以上が天引きされるなど制度が整っていることも理由です。

マネーツリーのポール・チャップマン最高経営責任者 マネーツリーのポール・チャップマン最高経営責任者

 油布 米国でも1985年ぐらいまでは日本と同じような状況でしたが、401KプランとIRA(個人退職勘定)の登場でその後20年間ですごく伸び、日本との格差が広がりました。ただし、運用についてはあらかじめ決めた金額をあらかじめ決めた銘柄に自動的に継続投資するのが一番合理的です。相場のアップダウンをみながら自分の才覚でやるのはよほどの資質がない限り勝てません。

 藤野 まとまったおカネを持っているひとは資産運用をしなくてもいいわけで、おカネのないひとこそ資産を作らないといけません。積み立てNISAは税制面で優遇が設けられ、年間40万円の枠を20年間使えます。貯めながら増やす、投資するという目的に合っています。

  資産運用しませんか、と言われたら資産はありませんと答えることになりますが、資産を形成しましょう、といわれたら資産がなくてもハイといえますね。そして資産形成しなければいけない人が金融を使えていなかったわけですから、フィンテックが変える対象が『資産運用』ではなく『資産形成』だったら期待が高まります。

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