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FIN/SUM WEEK 2017 レビュー

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フィンテック、「資産形成層」拡大の契機に

3割減る老後の金融資産、拡大する格差に対応できるか ~QUICK資産運用討論会

 グローバルイベント「FIN/SUM WEEK 2017」において、金融情報会社QUICK(東京・中央)の研究機関であるQUICK資産運用研究所は9月19日、「フィンテックが変える日本の資産運用」と題した討論会を開いた。家計簿アプリを手がけるマネーツリーのポール・チャップマン最高経営責任者、クリエーターとして活躍するロフトワークの林千晶代表取締役、「ひふみ投信」を運用するレオス・キャピタルワークスの藤野英人社長、少額投資非課税制度(NISA)の制度設計などで主導的な役割を務める金融庁の油布志行参事官――の4氏がパネリストとして参加した。モデレーターは北澤千秋QUICK資産運用研究所長。

左から、モデレーターの北澤千秋QUICK資産運用研究所長、金融庁の油布志行参事官、レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長、ロフトワークの林千晶代表取締役、マネーツリーのポール・チャップマン最高経営責任者 左から、モデレーターの北澤千秋QUICK資産運用研究所長、金融庁の油布志行参事官、レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長、ロフトワークの林千晶代表取締役、マネーツリーのポール・チャップマン最高経営責任者

 討論会では来場者にオンラインアンケートをとり、結果をリアルタイムで映す聴衆参加型のディスカッションを取り入れ、資産運用の現状や展望についておよそ2時間議論を交わした。4氏は「投資のカスタマイズ化や手続きの簡便化が進む」「現役世代を資産形成に呼び込む契機になる」などフィンテックが果たす役割に期待を寄せた。

 討論の要旨は以下の通り(文中敬称略)。

モデレーターの北澤千秋QUICK資産運用研究所長 モデレーターの北澤千秋QUICK資産運用研究所長

 北澤 現役世代が老後に得られる年金は今の団塊世代に比べて3割ぐらい少なくなるという試算があります。同じ生活水準を求めるなら自助努力で資産を作り、この差を埋めていく必要があるわけですが、資産運用は怖い、損しそう、だまされる、などネガティブなイメージがつきまとったり知識が不足したりして、必要性を感じながらも踏み出せない方が多いといえます。

 IT(情報技術)革命時のデジタルデバイド(格差)と同じようにファイナンシャルデバイドによって、資産運用への意識やリテラシーの有無が老後の資産等に大きな格差を生むと予想されます。フィンテックが資産運用の意識を変え、リテラシー不足でも誰もが身構えずに投資の世界に入り込めるかどうかを議論しようというのがテーマの趣旨です。

なぜ日本で資産運用が根付かないのか?

◆「デフレの影響、希望最大化型2割・失望最小化志向8割の日本人」(藤野氏)
◆「短期的収益追求、信頼勝ち得ていない長期資本市場」(油布氏)

 北澤 まず、そもそも日本で資産運用が根付かないのはなぜでしょうか。

 油布 なぜ、投資をしないのか、と問うときまって『投資をするだけのまとまったおカネがないから』という回答が上位にきます。言い換えると、おカネが貯まるまで、あるいは退職金などがもらえるまで投資をしない、できないことになります。

 発想を全く変えないといけません。たとえば毎月、収入から一定額を強制的に積み立てるやり方がもっとも合理的です。1989年12月末、日経平均株価が史上最高値(3万8915円)をつけたときから積み立て投資を実行したとすれば安倍政権交代あたりで損益がゼロになり、いまではかなりのリターンを得られているはずです。

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