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フィンテック キーパーソンに聞く

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東京・大手町発のエコシステムは想定超える拡大

三菱地所 ビル営業部 統括 堺美夫氏

 フィンテック(金融とテクノロジーの融合)をテーマとするグローバルイベント「FIN/SUM WEEK 2017」の開催を機に、参加団体のキーパーソンに注目テーマや最新動向、新分野を切り開く意気込みを聞く。再開発が進み真新しい高層ビルが林立する東京・都心の一角――。いまだ昭和の面影を残す大手町ビルを4階にあがり、長い廊下を東へ進むと突然景色が変わる不思議な空間に出くわす。レトロなオフィスが、生体認証システムや共同作業スペースなどを備えた近未来のオフィス空間にタイムスリップするのだ。ここが日本初のフィンテックスタートアップの集積拠点、フィンテック・センター・オブ・東京、通称「FINOLAB」(フィノラボ)。しかけ人である三菱地所の堺美夫氏(ビル営業部 統括)は「エコシステム(生態系)の拠点として位置づけており、想定を超える速さで拡大が続いています」と話す。

近未来のコミュニティ形成型コワーキングスペースが大手町に

 三菱地所は昨年9月のフィンテックサミットに続き、今年9月19日からのFIN/SUM WEEK(フィンサム ウイーク)でスペシャルパートナーとして参画。丸ビル、新丸ビル、三菱ビル、大手町フィナンシャルシティ、大手門タワー、大手町仲通りといった、大手町や丸の内にある三菱地所所有のイノベーションスペース9カ所を提供する。「1週間にわたるフィンテックのお祭りをやろうということになり、正直、実務面では調整も大変で悲鳴を上げていますが、老若男女・洋の東西を問わず多数のプレーヤーをこの街に呼び込むことができて素晴らしいと思います」と堺氏は熱く語る。

三菱地所 ビル営業部 統括 堺美夫氏

三菱地所 ビル営業部 統括 堺美夫氏

 三菱地所がフィノラボを立ち上げたのは2016年2月。最初は旧・東京銀行協会ビル内にあったが、予想以上に多くのスタートアップ企業が集まってきた。この流れを吸収・加速させるために、スペースが空いた大手町ビル4階をリニューアルし、2017年2月に新フィノラボとしてオープンさせた。エレベーター前の回廊からコワーキングやイベントなどに使うスペースは開放的で、フィンテックの集積拠点らしい質感を出せるようデザインや仕様も作りこんだ。

 「通常のコワーキングスペースではなく、フィンテックのエコシステム(生態系)の拠点としてこの場所(フィノラボ)を位置づけています。たしかにスタートアップ企業は約40社入居していますが、場所を貸すというだけではなく、エコシステムをより広げていけるようにさまざまなステークホルダー(利害関係者)が集まってコミュニケーションをとれるような工夫を凝らしました。大企業、金融庁や日銀、メディアなどと官民一体で協業できるイメージで、言わば『コミュニティ形成型コワーキングスペース』。だから、80人程度入れるイベントスペースもあれば、セキュリティーを完備し金融機関もオフィスを構えられるようにしたエリアも混じっています」

スタートアップ企業はぐくむ有識者集団と大企業

 フィノラボにはブロックチェーンや決済関連はもちろん、AI(人工知能)、生体認証、ロボティクスなどいろいろなスタートアップ企業が入居している。堺氏は「約15年前に生まれた検索エンジンの米企業が世界を変えたように、フィンテックの技術もまた5年、10年先の企業や生活の行動様式を変えてしまう可能性を秘めます。そうしたプラットフォームあるいは基礎技術を開発しようという会社がこのフィノラボから誕生してほしいし、応援していきたい」と期待を寄せる。

 フィノラボに入るメリットはなにか。じつはスタートアップを専門にしている弁護士やさまざまな分野の専門家が集まる有識者集団「Finovators」(フィノベーターズ)がフィノラボを活動拠点とし、黒子役としてエコシステムを支える。起業したばかりのスタートアップにとってはかしこまって専門家に相談に行く必要もなく、こうしたメンターが法律や特許など実務面で気軽にサポートに応じてくれる。

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