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ビシネス活用が進むVR

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協力:KDDI

加速するビジネスでのVR活用、今知りたい注意点

 VR(仮想現実)技術のビジネスでの活用が本格化している。社内教育、営業支援、娯楽施設の演出など幅広い目的でVRが活用されるようになってきた。VRはICT(情報通信技術)などを活用して人工的に現実感を作り出す技術の総称。例えば、頭や体の動きに連動して変化する風景の映像を見たとき、人は実際にそこへ行ったかのような感覚を持つ。こうした、ある種の錯覚をもとに、「リアル」な体験をもたらす。

 2016年はVRの新製品が相次ぎ、改めて「VR元年」と言われるほど、VRが注目を集めた。2017年も新製品ラッシュは続いており、ビジネスでのVR活用も加速している。

 野村総合研究所(NRI)でVRに関するコンサルティングを手がける山岸京介氏(コンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部 副主任コンサルタント)は「実は過去にも"VR元年"と呼ばれる時期はありましたが、今回の"VR元年"はより期待が大きい。VRの理想をかなり実現できるほど要素技術が追いついてきたと感じます」と話す。

 VRに関する調査を手がけてきた、みずほ情報総研の武井康浩氏(経営・ITコンサルティング部 マネジャー)は「製造業における受注品の設計・解析業務、建設・土木業における設計業務など、ビジネスでVRを活用する動きは2000年ごろからありましたが、最近、急速に用途が広がっています」と指摘する。

VRのブレークを生んだ2つのポイント

 VRが改めてブレークしたポイントは2つある。

野村総合研究所(NRI)の山岸京介氏(コンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部 副主任コンサルタント) 野村総合研究所(NRI)の山岸京介氏(コンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部 副主任コンサルタント)

 第1のポイントは、多様なVR製品が登場してユーザーの選択肢が増えたことである。多くのVR製品ではヘッドマウンドディスプレー(HMD)というゴーグルに似た端末を使う。頭部に装着すると視野いっぱいに映像が広がるようになっており、没入感が得られる。また、HMDが内蔵するセンサーによって頭部の動きを検知し、映像を変化させることによって、映像に現実感を生む。そうしたHMDを活用したVR製品が急速に増え、価格が低下したのである。

 武井氏は「2016年は、個人でも購入できる価格に低下したVR製品が次々に発売されました。これはVRの普及にとって非常に大きいと感じます。しかも製品はさらに進歩する余地があります」と指摘する。

 これらVR製品には、独立したHMDをパソコンやTVゲーム専用機と接続して利用するタイプ、スマートフォンをそのままHMDとして使うタイプがある。

 パソコンやTVゲーム専用機に接続して利用するタイプでは、画像処理をパソコンやTVゲーム専用機で行うため、映像が比較的高精細である。また、製品によっては、利用者の手足の動作までを把握する機器も用いて、部屋の中をあたかも歩いたり、映像の中でモノに触ったりするかのような体験を提供することが可能だ。

みずほ情報総研の武井康浩氏(経営・ITコンサルティング部 マネジャー) みずほ情報総研の武井康浩氏(経営・ITコンサルティング部 マネジャー)

 また、スマートフォンをHMDとして使うタイプでは、スマートフォンが内蔵するセンサーを使って人間の動作に対応した映像を見せる。映像はそれほど精細ではないが、スマートフォンをゴーグルのように頭部に装着する器具があればよく、VRを急速に身近にした。

 VR製品ではユーザーの動きを精密に把握するため、セットアップ作業に専門知識が必要で時間もかかっていたが、その効率化も進んでいる。山岸氏は「TVゲーム専用機と接続する製品は、画面の指示通り操作すればセットアップが完了します。スマートフォンをベースにした製品は、スマートフォンに画面を取り囲む枠をつけるだけで利用可能になります」と話す。

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