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フィンテック キーパーソンに聞く

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利用者が気づかず使える銀行サービス目指す

住信SBIネット銀行 FinTech事業企画部長 吉本憲文氏

 フィンテック(金融とテクノロジーの融合)をテーマとするグローバルイベント「FIN/SUM WEEK 2017」の開幕を前に、参加団体のキーパーソンに注目テーマや最新動向、新分野を切り開く意気込みを聞く。住信SBIネット銀行のFinTech事業企画部長、吉本憲文氏はフィンテックスタートアップとの協業を通じて、利用者が気づかず銀行機能を使えるサービスを実現していきたい、と抱負を語る。

ネット専業、全社一丸でフィンテック推進

 住信SBIネット銀行は、銀行システムを外部のサービスと接続するための「API」(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を2016年3月に邦銀で初めて公開した。接続先は家計簿アプリのマネーフォワード(東京・港)やクラウド金融ソフトのfreee(フリー、東京・品川)など4社7案件に広がり、メガバンクの先を行く。API公開によってフィンテックスタートアップなどサービス事業者との協業が促進され、サービス利用者も自らが使っている銀行のIDやパスワードを事業者に預けなくてもサービスを利用できるようになった。

住信SBIネット銀行 FinTech事業企画部長 吉本憲文氏 住信SBIネット銀行 FinTech事業企画部長 吉本憲文氏

 同社の先駆的な取り組みの原動力とは何か。吉本氏は「インターネット専業銀行なので、全社一丸となってフィンテックを推進していくという意識が徹底している」ことを挙げる。実際、「全社一丸」は、同氏が率いるFinTech事業企画部の在り方にも反映している。

 FinTech事業企画部は新規事業の調査・開発を担うが、組織は柔軟で流動的だ。プロジェクト開始時には、当該案件に意欲のある社員らが同部に異動してくる。やがてサービスの形が整ってくると、部員は事業化後に新サービスを所管する予定の部署を兼務し、社内の橋渡しをしながら開発を進める。開発が終わると、部員は所管部署に異動してサービス提供に引き続き携わる、といった具合だ。

 「新規事業はバトンの受け渡しが課題。当社は比較的小規模なので、『魂』を持った人が新サービスを育てるところまで担当するスタイルが合っているように思います」と吉本氏は話す。

 「全社一丸」は、コンプライアンス部門やリスク統括部門といったバックオフィス(後方支援部署)にも及ぶ。銀行のバックオフィスは、ともすると前例のない案件に対してブレーキ役になりがちだが、住信SBIの場合は「案件実現に向けた課題をきちんと指摘したうえで、その課題をどのようにして乗り越えたらいいか、率先して検討しています」(吉本氏)。

 また、住信SBIは他業界から人材を積極採用していることも、既存の銀行の発想を打ち破る促進剤になっているようだ。吉本氏もヤフーや野村総合研究所などを経て、2015年に入社した。前職で金融分野を担当していたものの、銀行勤務の経験がなかったことから、「社内の銀行経験者が暗黙の了解で制限していることでも、『なぜやらないの』『どうしてできないの』と我慢せずに聞いてきました。そうやって新しい事例をつくり出していくうちに、社内の意識が変わってきたのでは」と話す。

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