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北朝鮮対応進めば年末にドル高・日本株高の期待

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

次期FRB議長候補の話題はドル買い材料視されやすい

 いずれ北朝鮮リスクは一定の収束を見るとして、それでも10月半ばぐらいまでは米国の新年度予算措置や連邦債務引き上げの問題でゴタゴタして、なかなか市場にリスク選好ムードが戻ってこないのではないかと、これまではいささか心配されていた。

 ところが、冒頭でも述べたように連邦債務上限の引き上げ問題については、すでにハリケーン被害救済のために必要な歳出を含めて12月15日までの暫定措置としても合意がなされることとなり、おそらくは新会計年度の予算措置についての話し合いも想定されていたよりはスムーズに運ぶ可能性が高いと見られる。メキシコ国境の壁建設問題などで議会と多少もめる場面もあろうが、政府閉鎖などという最悪の事態は避けられよう。

 まして、そろそろ市場では、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長候補についての話題が喧(かまびす)しくなってくるものと思われる。既知のとおり、現職のイエレン氏は来る2018年2月3日に議長としての任期が満了する。もちろん、イエレン氏の続投というケースも十分に考えられ、それは良くも悪くも市場に及ぼす影響が最も少ないし、すでに市場の信認は十分に厚い。従来通り、いささかハト派的な政策運営方針を貫くにしても、それで着実に米国経済の成長が加速して行けば、結局はドル買い材料を提供する。

 もっとも、市場には「トランプ氏のことであるから、イエレン氏の政策手腕の有無に関わらず、あえて前オバマ時代とは異なる議長を選出したがるのではないか」との見方もある。イエレン氏以外の後継候補としてすでに名前が挙がっているのは、米国家安全会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長、コロンビア大学大学院のグレン・ハバード教授、スタンフォード大学のジョン・ブライアン・テーラー教授、元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏らである。

 注目すべきは、最有力と見られていたゲーリー・コーン氏とトランプ大統領との確執がここにきて一層強まっており、次期議長の座が流動的になってきたということだ。加えて、コーン氏以外の3候補は今年1月に行われた米国経済学会の年次総会においてそろってFRBの政策方針に異議を唱えたということである。

 よりシンプルに言ってしまえば、この3候補は誰が次期議長になったとしても、かなりタカ派的な姿勢を政策に反映させる可能性が高いと見られている。よって、いよいよ次期FRB議長候補の話題が市場で取り沙汰されるようになり、いずれ誰かが任命されることとなる運びのなかで、市場においては徐々にドル買いムードが強まって行く可能性が高いと思われる。

 そして何より大きいのは、次期議長にイエレン氏以外の人選がなされれば、仮に12月のFOMCで追加利上げ実施の決定が下されなくても、そのことは市場において"二の次"と見なされる公算が大きいということである。その時点では、すでに次期議長の政策方針の方に市場の関心が向かいやすくなっており、任期満了間近の議長が率いるFOMCの決定にはあまり重きが置かれないものと思われるのだ。

年末までには米国経済の一段の改善も

 もちろん、年末に向けてのドル高やそれに伴う日本株高への期待が膨らむのは、米国経済のファンダメンタルズ自体が一段と改善すると見込まれることも大きい。日本株の話題も含めて、より詳しくは次回更新分以降に譲るが、いま最も重要視されている米国の物価並びにインフレ率の上昇圧力は足下で着実に強まっていると見られ、それがデータの上でもそろそろ明らかになってきそうである。

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