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北朝鮮対応進めば年末にドル高・日本株高の期待

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 少し振り返れば、8月29日には、あろうことか北朝鮮の発射した弾道ミサイルが日本の本土上空を通過したことにより、一時的にも1ドル=108円27銭まで円高が一気呵成(いっきかせい)に進む場面があった。また、4月半ばに108円13銭という年初来安値をつけたときも北朝鮮リスクが大いに盛り上がっていた。

 つまり、北朝鮮が瀬戸際戦略に打って出て、それに国際社会が経済制裁(石油禁輸を除く)レベルで対応している段階においては、対円でのドルの下値もせいぜい108円台までに留まるということなのであろう。

 同時に、テクニカルな観点からしても108円台というのは十分に意味のある水準であり、よほどのことがない限りは108円台でのドル下値サポートは機能し続けることになると見られる。

 まず、2016年6月にブレグジット・ショックで一時99円まで下押したところから同年12月に一時118円67銭まで上値を伸ばしたところまでの上昇幅に対する半値(50%)押しの水準が108円台後半である。考えてみれば、2016年6月の安値というのは2011年10月に75円台の安値(対円でのドルの史上最安値)をつけたところから2015年6月に125円台後まで上値を伸ばしたところまでの半値押しに当たる水準でもある。ことほど左様にドル相場と半値押しは相性がいい。

 また、下図においてもあらためて確認できるように、目下のドル(対円)が位置するところには一目均衡表の週足「雲」下限の存在というものもある。これまで本連載では、前回更新分も含めて月足ロウソクと月足ベースでの一目均衡表の「雲」との位置関係を確認してみることが多かったが、このように週足ベースで見た場合にもそこにさまざまな注目ポイントが浮かび上がってくる。

週足ベースで見たドル/円の一目均衡表

 この週足チャートをよく見ると、対円でのドルは先週まで4週連続して「週中にいったんは週足『雲』下限を下抜ける場面があったものの、週足・終値では週足「雲」下限よりも上方に居留まる」というパターンを繰り返してきたことがわかる。要は、この週足「雲」下限が当面の下値サポートとして大いに意識されてきたということである。

 さらに加えて、ドル(対円)の週足・終値は先週まで4週連続して「62週移動平均線(62週線)よりも上方に居留まる」というパターンを繰り返してきたこともわかる。つまり、週足「雲」下限と同様に62週線も当面の下値サポートとして意識されてきたということだ。

 ちなみに、過去を振り返ると2014年の5月下旬から7月下旬あたりにかけての時期や、2015年の6月下旬から12月下旬にかけての時期、さらには今年の4月安値や6月安値がつけられた時期など、これまでに62週線がドル/円の下値サポートとして機能したケースというのは数多く認められる。それも、62週線と週足「雲」上限あるいは下限の水準がともに重要な節目として"共演"しているケースが少なくないのである。

 そうした意味からして、この9月の数週における週足ロウソクと週足「雲」下限、あるいは62週線との位置関係がどのようになるのかは大いに気になるところである。それは、かつてないほどの北朝鮮リスクの高まりのなかで進むリスク回避の円買いの限界を知る一つの良い機会となり得るわけだ。

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