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北朝鮮対応進めば年末にドル高・日本株高の期待

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 去る9月3日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水素爆弾実験に「完全に成功した」と発表した。これを受けて、週明け4日以降のグローバルマーケットでは全体にリスク回避ムードが色濃くなり、日経平均株価も弱含みでの推移が続き、海外市場では円高の流れが強まっている。

 いわゆる地政学的リスクというものは、相場にとって「あくまでも一過性のかく乱要因に過ぎない」とは理解するが、現実に目の前でドル安・円高、日本株安の動きを見せつけられているというのは決して愉快なことではない。

 考えてみれば、なおも米国経済のファンダメンタルズは極めて良好な状態を持続しており、足下で円やユーロなどに対してやけにドル安が進んでいる状況には相当の違和感を禁じ得ない。もちろん、国内上場企業の業績もすこぶる好調に推移している模様であり、本来であれば日経平均株価も現在の水準よりずっと高くていいはずである。

 果たして、9月9日の北朝鮮建国記念日や同月11日の国連安保理における北朝鮮対応に関わる決議などといった山を越え、物理的な時間の経過とともにほとぼりも冷め、再び市場が"平時モード"に戻るということになれば、あらためてドルや日本株などの相場は持ち直し、年末に向けての一段高に期待することができるようになるのだろうか。

 かねてより少々不安視されていた米連邦債務上限の引き上げ問題については、9月6日にトランプ米大統領と議会指導部が債務上限適用停止の延長と12月中旬までの政府運営資金の確保で合意し、ひとまずクリアになった。なおも、今の会計年度が終わる9月末までに新たな予算措置を行えるかどうかがしばらくは問われるが、こうした一つひとつの課題は、いずれ自ずと過去のものになる。そうした過去の積み重ねが明日の希望となる可能性も大いにある。

 すなわち、北朝鮮リスクの高まりによって低迷する足下の相場つき(相場の動き方)を目の当たりにしながら、筆者は個人的に2017年の年末相場にかける期待を膨らませている。ここであらためてその根拠を整理し、それぞれしっかり検証しておくとしよう。

1ドル=108円台の下値サポートは堅い

 まずは目先のことになるが、再び1ドル=108円台近辺にまで下押してきた対円でのドルの行方について、さしあたっての下値の目安というものを考えておきたい。

 本連載の前回更新分「米政権への信任低下でドルは年内小幅な動きか」において、2017年は「概ね108円から118円あたりまでの約10円程度というやや限られた値幅のなかでの値動きということになるのではないか」と述べたことからすれば、もはや筆者の想定の下限に接近しているということになる。

 実際、かつてないほどに米朝間の緊張が高まり、国際社会の対応の仕方次第では万一の暴発もあり得なくはないといった状況にあることを考えれば、今あるところがまさに底であると考えていいものと思われる。

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