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フィンテック キーパーソンに聞く

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「知の探索」へ現場主義貫く

NEC FinTech事業開発室長 岩田太地氏

 フィンテック(金融とテクノロジーの融合)をテーマとするグローバルイベント「FIN/SUM WEEK 2017」の開幕を前に、参加団体のキーパーソンに注目テーマや最新動向、新分野を切り開く意気込みを聞く。NECでFinTech事業開発室長を務める岩田太地氏は、社内に答えはないと考え、とにかく社外に出るなど、現場における「知の探索」を重視しているという。

社内に答えはないと考え、とにかく社外に出る

 「Exploitation(知の深化)」だけではいけない、「Exploration(知の探索)」に踏み出さなければ――。NECでFinTech事業開発室長を務める岩田太地氏は、そう強調する。

 イノベーションの源泉の1つは、知と知の組み合わせ。だから企業はつねに知の範囲を広げなければならない。これを経営学では「知の探索」と呼ぶ。一方、収益を生むために既存の知を改良していくことは「知の深化」である。知の探索と知の深化はイノベーションの両輪といえる(入山章栄 著、『世界の経営学者はいま何を考えているのか』、英治出版)。

NEC FinTech事業開発室長 岩田太地氏 NEC FinTech事業開発室長 岩田太地氏

 ところが現実には、企業は身近な知識だけを活用すれば済む知の深化に偏りがちで、苦労が多い割に成果が不確実な知の探索をなおざりにしやすい。しかし、それでは中長期でイノベーションが停滞してしまう。だからこそイノベーション創出を担うFinTech事業開発室は、意識的に社外で知の探索に取り組んでいると岩田氏は話す。

 「室員は兼務も含め約20名。スタートアップのマインドを保つためには、大きすぎてもいけません。社内に答えはないと考え、自分自身を含め、とにかく社外に出るようにしています。会社はどうしても強い部分に深化しようとしがちですが、だからこそ知の探索が大事になります。それにはパートナーや顧客とコミュニケーションを密にし、現場に深く入り込む。そこで課題を共有し、正しい答えは何か仮説を立てて検証を繰り返すしかありません」

 1981年、大阪府生まれ。高校卒業後、米ミズーリ州立大学でフォトジャーナリズムを学ぶ。金融とはかなり縁遠い印象だが、意外にも、当時の勉強が今の仕事に役立っているという。

 「どういうきっかけだったか忘れてしまいましたが、ミズーリ州立大学は米国で最も歴史の古いジャーナリズム学部があり、そこで勉強したいと思ったのです。同州は牧畜など農業が盛んです。宿題で田舎の農家に行って肉牛の写真を撮り、それについて現地の人にインタビューしたりしました。そうすると大学の先生が写真や記事の出来を評価するわけです。当時の経験は今の仕事に役立っていると思います。いろいろな人から本質的なニーズを聞き取り、ビジョンを共有し、ストーリーに共感し、それに対する答えを間違いでもいいから考え、検証する。こうした仕事はジャーナリズムと共通するところがあります」

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