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超入門 資本論

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自分はつぶしがきかないと思い込んでいないか

経済入門書作家、経済ジャーナリスト 木暮 太一氏

 ドイツの思想家・経済学者、カール・マルクスが著した『資本論』は、資本主義経済の構造を徹底的に分析しており、20世紀以降の全世界に最も影響を与えました。TVコメンテーターとしても活躍する木暮太一氏は「扱っているテーマは価値・商品・給料・製造・流通など、ぼくらのビジネスに身近なもので、自分の立場に置き換えて考えることができます」と指摘します。第3回では、「②能力を汎用化させる」方法を紹介します。

【②能力を汎用化させる】

 『資本論』から読み解けるふたつ目の対策は、どこでも使えるスキルについてです。精神的な問題ではなく、「実際に他で働くことができない人」がいます。これは能力が低いということではなく、「つぶしが利かない」という意味です。

 A社に勤めている人は、A社向けの能力が身についてきます。しかし、それは必ずしもB社で使える能力ではないかもしれません。同じ業界のライバル企業では使えたとしても、異業種ではまったく活用できないスキルや知識もあります。

 自分の能力が、その会社でしか使えないと、外に出ることができず、その企業に依存することになります。

 その会社の中で評価されるためには、その会社の業務を理解し、その会社の風土を知らなければいけません。その会社にどっぷり浸からなければ、高い評価を得ることは難しいでしょう。

 しかし一方で、その会社に浸かってしまうと、「その会社でしか使えない知識、スキル」をたくさん身につけることになります。たしかにそれは、みなさんの武器となり、その会社の中で生きていくための資産となるでしょう。

 ただ、その知識を、他で使うアテがなかったとしたら、みなさんは一歩も外に出られない状態に陥ってしまいます。みなさんが、それまでの経験をすべて捨てて、新入社員と同じ気持ちでゼロから再スタートをする覚悟があれば構いません。

 しかし、年を重ねれば重ねるほど、そう覚悟することは難しくなります。

 その会社で一生懸命仕事をすることは大事なことです。しかし、その会社でしか使えない資産を蓄えていくと、かえって「他では一切使えないもの」を抱え込み、自分で身動きをとれなくしてしまうのです。

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