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超入門 資本論

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ブラック企業は労働者の依存で生まれる

経済入門書作家、経済ジャーナリスト 木暮 太一氏

 ドイツの思想家・経済学者、カール・マルクスが著した『資本論』は、資本主義経済の構造を徹底的に分析しており、20世紀以降の全世界に最も影響を与えました。TVコメンテーターとしても活躍する木暮太一氏は「扱っているテーマは価値・商品・給料・製造・流通など、ぼくらのビジネスに身近なもので、自分の立場に置き換えて考えることができます」と指摘します。第2回は、第1回に続いて「①変化耐性をつける」方法を紹介します。

ブラック企業があるのは労働者が依存しているから

 資本主義経済が進行するにつれて、労働者の給料は低下していき、同時に企業の利益率やビジネス成功確率も下がっていきます。

 そうした中、追い詰められた企業は、何とかして剰余価値を稼ごうとするでしょう。それは、「絶対的剰余価値」を増やそうと労働時間を極端に長くしようとすることかもしれません。過度にプレッシャーを与えて、労働生産性を強引に高めようとするかもしれません。本来の労働力の価値を払わず、残業代や基本給を減らそうとするかもしれません。

 つまり、企業は生き残りをかけて、ブラック化することも十分考えられるのです。

 もちろん、すべての企業が「ブラック」になるわけではありません。しかし、企業のビジネス環境が飛躍的・安定的に改善することは考えられません。程度の差はあれ、資本主義の宿命として、企業からの圧力は強まっていくのです。

 これからの世の中、「企業に依存しない働き方」が必要になります。ひとことで言うと、使われる側の労働者から抜け出さなければいけないということです。と言っても、全員が資本家になるべきということではありません。独立して「社長」にならなければいけないということでもありません。

 これは「フリーランス・マインド」で仕事をしなければいけないということです。

 実際に企業に勤めていたとしても、「使用人」ではなく、「その仕事を請け負っている人」として仕事をするということです。企業に隷属するのではなく、フリーランスの立場で仕事を発注されているかのように自分を捉え、そのようにふるまうということです。

 これはマルクスが説いた「団結せよ!」という解決策とは違います。しかし、マルクスの洞察を現代に当てはめることで考えられる選択肢です。

 どういうことか、解説していきましょう。

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