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成功企業に学ぶ 実践フィンテック

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フィンテックが金融業に創造的破壊をもたらす理由

SBIホールディングス 代表取締役執行役員社長 北尾 吉孝氏

ブロックチェーンを中核とするフィンテック2.0

 では、私がフィンテック2.0と呼ぶ世界は一体どのようなものかを次に見ていきましょう。2.0ではブロックチェーンが中核的技術であり、1.0や1.5のようにWebは必ずしも必要ではありません。インターネット上でのWebの出現は世界規模での情報の交換を可能にしました。他方、ブロックチェーンはインターネット上でグローバルでの価値の交換を可能にします。ですから、この二者は共存できますが異質なものと考えるべきです。

 私がここでフィンテック1.0、1.5、2.0と峻別するのは、フィンテックという言葉でこれらを一括りにしてしまうと、ブロックチェーンの持つ革新性や大きな社会変革をもたらす可能性といったものを過小評価してしまうのではないかと危惧するからです。そうした過少評価が、ブロックチェーンの日本における発達を阻害することになりかねないからです。サトシ・ナカモト氏が2009年にビットコインという仮想通貨について論文を発表して以来、ブロックチェーンはビットコインの基本技術として脚光を浴びました。

●図表1-2 フィンテック2.0の世界

 ブロックチェーンの生い立ちからして当然なことですが、価値の交換・保存といった貨幣的側面ばかりが注目されていました。しかし、2012~2013年頃から、仮想通貨にとどまらず、ビジネス(金融関係に限らない)の仕組みを大きく改善したり、行政・公共分野をも含めて広く応用され得るという認識や期待が高まってきたのです。

 そうした中で、ブロックチェーンのアプリケーションも次々に開発され始めました。これらのアプリにはブロックチェーン上で利用されるだけでなく、既存のWebのアプリと組み合わせて利用されるものもあります。このことは、ブロックチェーンが単なる新しい技術ではなく、既存の技術を補完したり、代替する可能性もあるということを意味しています。

 さて、ここでブロックチェーンとは何かについて触れておきます。様々な人がいろいろと定義しています。なぜ、様々な定義があるかといえば、それだけブロックチェーンには重要な機能がいくつもあるからです。例えば、多くの人がブロックチェーンを分散型取引台帳と表現しています。一般的な定義としてはこれで良いと思います。ブロックチェーンは構造的にはインターネット上に構築されたピア・ツー・ピアのネットワークを基盤としており、完全に分散化したクラウドシステムといえます。

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