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成功企業に学ぶ 実践フィンテック

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フィンテックが金融業に創造的破壊をもたらす理由

SBIホールディングス 代表取締役執行役員社長 北尾 吉孝氏

 このサービスによりペイパルは、従来の支払システムに大きな風穴を開けたのです。ペイパルに続きアップルが2014年にアップルペイ(Apple Pay)を発表しました。アップルペイはiPhoneを利用した決済サービスです。中国のアリババグループが2004年に設立した決済サービスであるアリペイ(Alipay)も4億人以上のユーザー数を有する世界最大規模のオンライン決済サービスです。

 こうしたペイパルの動きに触発され、世界中で非金融分野のベンチャー企業が、支払システムだけでなくローンや資産管理、資金調達、送金、資金運用といった様々な金融分野で誕生していきました。現在、こうしたベンチャー企業の持つ単独技術が金融分野で応用されたり、何社かのベンチャー企業の持つ様々な要素技術が組み合わされることで、主としてフルラインの金融機関で使用されています。

新技術が進化させたフィンテック1.5

 そうした技術が様々な金融サービス分野で効率的かつ効果的な金融商品を生み出すことになりました。どのような要素技術かというと、AI(人工知能)、ビッグデータやIoT(Internet of Things:あらゆるモノがインターネットにつながれること)に関する技術、ロボティクスなどです。日本の場合、2010年頃から、こうした技術やそれらのコンビネーションが金融業において次第に利用され始めました。これらはちょうどコンドラチェフ循環(技術革新を主因とする50~60年周期の好不況の経済循環)の始まりのタイミングで急速に発達し、2012~2013年頃から大手の金融機関にも利用され始めてきたのです。

●図表1-1 フィンテックの進化

 こうした2012~2013年から注目を集めてきた動きを、基本的にはフィンテック1.0の進化系であるということから、私はフィンテック1.5と呼んでいます。

 私がフィンテック2.0と呼んでいる世界は、フィンテック1.0やその進化系である1.5の世界とは次元が違うものです。

 両者ともインターネットの存在が不可欠ですが、1.0の世界ではWWW(ワールドワイドウェブ World Wide Web)あるいは単にWebを通して人類史上最大のスケールで個人間の多種多様な情報を自由に交換することが可能となりました。

 Web上で使用されるアプリケーション(アプリ)も様々なものが開発され、モバイルフォンの利用の拡大とあいまって前述したようなフィンテック1.0や1.5の世界が発達してきたといえます。我々は現在フィンテック1.0の世界、すなわちそれは1995年ぐらいから2000年にかけて発達してきたインターネット金融とその進化系(主としてベンチャー企業により開発されてきた)の複合体の世界にいるのです。もっとも、日本の多くの金融機関はそれ以前のIT時代から基本的なビジネスにおいてはほとんど進化していないといえなくもないでしょう。

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