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石澤卓志の「新・都市論」

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インバウンド需要「モノからコト」は本当?

みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

 政府は、外国人観光客を「2020年までに4,000万人、2030年までに6,000万人」に増やす目標を立てている。以前の目標値は「2020年までに2,000万人」だったが、観光客の急増を踏まえて、2016年3月に上方修正された。その一方で、最近では「インバウンド需要は一服した」との見方が強まっており、その内容も、「爆買い」に代表される「モノ需要」から、サービスを体験する「コト需要」に移行したと見られている。しかし実態は、やや異なるようだ。

ロシアやスペインなどからの観光客が大幅増

外国人観光客は増え続けている 外国人観光客は増え続けている

 外国人観光客(全国籍)は、2015年にはほぼ毎月、前年同月比40%~60%台の大幅増が続いていた。しかし2016年4月以降は、ほとんどの月が10%台の増加にとどまり、2017年2月以降は10%割れの月も見られるようになった。ただし、現在のところ(2017年7月時のデータまでについては)、前年割れとなった月は出ていない。インバウンド需要は、増加テンポは鈍化したものの、依然として増加が続いている。

 これまでインバウンド需要の増加は、主に中国人観光客によって担われてきたが、最近では欧州などからの観光客の増加が目立ってきた。中国人観光客は、2016年(暦年)に前年比+27.6%と大幅に増加したが、2017年2月~7月の6ヵ月間の累計では前年同期比+3.0%にとどまった。これに対してロシア人観光客は、2017年1月~7月に同+39.6%の大幅増を達成した。2017年1月から、ロシア国籍の人に対して、日本渡航の短期滞在ビザの発給要件が緩和されたことや、極東ロシア発の航空路線が新規就航した効果が大きかった。

 スペインからの観光客は、2014年から増加傾向が強まり、2017年1月~7月の累計では前年同月比+13.3%となった。日本とスペインの航空当局は、2016年5月に2国間のオープンスカイ(航空自由化)で合意し、同年10月にはイベリア航空が、成田-マドリード間の直航便を18年ぶりに復活させた。この影響もあり、スペイン国内の報道で日本が紹介される機会が増えている。さらに、スペイン国王夫妻が来日された2017年4月には、スペインからの訪日客数が前年同月比+74.8%の大幅増を記録した(図表1)。

図表1:外国人観光客数の変動状況 注:訪日外客数の前年同月比。国籍別。3ヵ月移動平均。<br>

出所:日本政府観光局(JNTO) 注:訪日外客数の前年同月比。国籍別。3ヵ月移動平均。
出所:日本政府観光局(JNTO)

 ロシアやスペインなどからの観光客は、絶対数では中国人観光客を大きく下回る。2017年7月の訪日客数は、中国人が78万800人に達したのに対して、ロシア人は6,300人、スペイン人は1万1,700人だった。しかし、観光客の国籍の多様化は、今後のインバウンド需要を支える重要な基盤になると思われる。

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