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ダイバーシティーマーケティングの時代

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SNSがアジアからの訪日外国人を呼ぶ

Fun Japan Communications 藤井社長、稲川COOとの座談会(前編)

アクセンチュア 製造・流通本部 秦純子氏、高木研太郎氏

 本連載第6回の『インバウンド市場は「モノ・コト横断」で攻略する』を受け、最終回はアジアの外国人向けデジタルマーケティングプラットフォームを日本企業へ提供するFun Japan Communications(ファン ジャパン コミュニケーションズ)の藤井大輔氏(代表取締役社長)、稲川直樹氏(COO:最高執行責任者)との座談会を実施した。前編・後編に分けた記事の前編では両氏とインバウンド(訪日外国人)市場が成長した背景について議論した。日本がこだわってきた製品・サービスが引き金になっており、想像以上に高いソーシャルメディア熱が成長を加速しているという。(文中敬称略)

座談会の参加者。左から高木研太郎(アクセンチュア)、秦純子(同)、藤井大輔氏(Fun Japan Communications)、稲川直樹氏(同) 座談会の参加者。左から高木研太郎(アクセンチュア)、秦純子(同)、藤井大輔氏(Fun Japan Communications)、稲川直樹氏(同)

高木  Fun Japan Communications(以下、FJC)は、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などで形成した、アジアの消費者コミュニティーを活用して、日本の企業や自治体のインバウンド市場向けビジネスを支援していることで知られます。御社のインバウンド市場向け事業はどのようなきっかけで始まったのでしょうか?

藤井 私はFJCの主要株主の1つであるJTBの出身です。2014年にインバウンド領域における新事業に携わり、FJCが設立された2016年10月に、現在の職に就きました。JTBでは2012年からグループ本社の経営企画部に所属し、JTBグループの長期経営計画策定に従事し、旅行業界の市場動向や将来性を分析しましたが、インバウンド市場にはそのころから注目しています。

 2012年ごろは、外国人の訪日旅行を意味する「インバウンド」という言葉はありましたが、市場はそれほど大きくありませんでした。当時、インバウンド市場に注目された理由は成長性でしょうか?

藤井 ご指摘のように2012年は訪日外国人数が年間836万人程度でしたが、当時から政府もインバウンド市場を重視し始め、関連業界が協力して気運の醸成を図ってきました。そして今や、訪日外国人数は2016年に年間2400万人を超え、2020年に4000万人を目標にするほど、成長しているのはご存じの通りです。

稲川 私は2013年に、FJCの事業構想段階から参加しました。日本通運(日通)の新規事業として始まりましたが、当初は企業の海外事業進出を支援することを想定していました。しかし2014年訪日外国人数が1300万人を超えたあたりからインバウンド事業にも活用可能ということで急速に事業を広げました。

アジアの日本への関心は想像以上に高い

高木 2013年からの市場の成長は急激でしたね。2013年に1000万人を超えた訪日外国人数は、2014年に1341万人、2015年に1974万人、2016年に2404万人に増えました。アジアの消費者コミュニティーを運営されているFJCでは、なぜそれほど急激に訪日外国人旅行者が増えたとお考えですか?

藤井大輔氏(Fun Japan Communications 代表取締役社長) 藤井大輔氏(Fun Japan Communications 代表取締役社長)

藤井 よく言われていますが、訪日外国人の受け入れ体制が日本全体で整備されたことは理由として大きいでしょう。例えば、航空業界では格安航空会社(LCC)が積極的に訪日外国人向けの事業を展開しました。また、日本政府は中国人向けのビザの発給要件を段階的に緩和しています。

 それらに加えて我々が感じるのは、アジア人の日本に対する興味や関心が、日本人の想像以上に高いことです。特にタイは日本に対する好感度がアジア各国の中で最も高いと我々は感じています。そうした親日意識の高いアジアの訪日旅行者を、LCC、円安、ビザの発給要件緩和などが後押ししたのだと思います。

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