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肖敏捷の忠言逆耳

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公害退治に「ムチ」をふるい始めた習政権

SMBC日興証券 中国担当シニアエコノミスト 肖 敏捷(しょう びんしょう) 氏

アルミナ企業、株価上昇の怪

 香港証券取引所に上場している中国企業の株価に異変が起きている。ここ数カ月、中国の大手アルミナ生産メーカーの株価が上昇を続けてきた結果、同社の株価収益率(PER)は約270倍に達した。理論上、同社の約270年分の利益まで織り込んでいることになる。足元で好調な「FANG」や「SUNRISE」と呼ばれるIT関連企業でも届かないようなこのPERの高さはなぜアルミという伝統産業の会社で起きたのか?

公害問題に対する国民の不満を解消するため、習近平政権の政策姿勢が変化してきている 公害問題に対する国民の不満を解消するため、習近平政権の政策姿勢が変化してきている

 株式市場で株価に影響を与える要因は様々でなかなか断定できないが、このアルミナ生産メーカーの株価急騰の背景には中国の環境規制強化があるのではないかと推定される。実際、今年に入ってから、中国当局は環境規制強化に乗り出し、汚染物質の排出量の多い企業が生産中止に追い込まれた。また、冬季に入ると、北方地域では暖を取るために石炭を使うボイラーが大気汚染源となっているため、当局は老朽化したボイラーの淘汰を進めると同時に、大気汚染が深刻になりやすい冬季に合わせて、一部の業種に対して稼働時間の短縮などを命じた。

 その中では、アルミの生産に対する制限措置が最も厳しく、最大の生産地である山東省は2017年11月15日から2018年3月15日まで、環境基準を満たすアルミナメーカーなら3割減産、環境基準に達していないメーカーなら生産中止といった対策を打ち出した。足元では、景気回復に伴い、鉄鋼やアルミなどに対する需要が回復している中、環境規制が強化されることになれば、環境規制に抵触する数多くのメーカーが減産せざるを得ない。供給が減少すれば、大手メーカーが値上げなどをしやすくなり、収益が改善するのではなかいとの期待から、前述した株価高騰に繋がったのではないかと考えられる。

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