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廃業する企業の経営資源を活用する

日本政策金融公庫総合研究所 主席研究員 井上 考二氏

 2016年に実施された総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」の結果(速報値)によると、企業等(※1)の数は386万6,537企業で、2014年の409万8,284企業から5.7%減少しました。企業数は依然として減少しており、政府は事業承継の促進や開業率の引き上げを目的とした施策によって、企業数の維持・増加を図ろうとしています。

(※1)企業等とは、事業・活動を行う法人(外国の会社を除く)および個人経営の事業所。

経営資源の引き継ぎは成長のチャンス 経営資源の引き継ぎは成長のチャンス

 人材、設備、取引ネットワークなど、企業には長年の経営で蓄積してきた有用な経営資源があります。廃業する企業が増えると、こうした経営資源は失われ、経済の活力が低下してしまいます。しかし、廃業する企業の経営資源を別の企業が引き継いで活用することができれば、廃業による経済へのマイナスの影響は緩和されるでしょう。経営資源を引き継ぐ側にとっても、有用な経営資源の引き継ぎは成長のチャンスとなるはずです。

 ところが、このような経営資源の引き継ぎがどの程度行われているかは、これまでほとんど明らかにされていませんでした。そこで、日本政策金融公庫総合研究所は2017年1月に「経営資源の譲り受けに関するアンケート」(以下、アンケートという)を実施しました(※2)。本稿では、その結果をもとに、経営資源の引き継ぎの実態についてみていきます。

(※2)アンケートでは「譲り受け」について、「対価が発生したかどうかを問わず、事業をやめたり縮小したりする企業や団体が保有する経営資源を、自社の事業に活用するために譲り受けること」と定義しています。

引き継いだことのある企業は12.6%

 アンケートは、インターネット調査会社に登録しているモニターに対して、まず、経営者かどうか、経営資源を譲り受けたことがあるか、などを確認する事前調査を行いました。そして、事前調査で経営者と回答した人に、経営している企業や経営資源の譲り受けなどについてさらに詳しく尋ねる詳細調査を実施しました。経営者だけを対象とした有効回収数は、事前調査が6,219件、詳細調査が770件です。

 はじめに、経営資源の引き継ぎがどの程度行われているかをつかんでおきましょう。

 事前調査の結果から、事業をやめたり縮小したりする企業や団体から、経営資源の全部または一部を、有償または無償で譲り受けたことがある企業の割合をみると12.6%でした。業種別では、「卸売業」が23.5%と最も高く、次いで「製造業」が22.1%、「小売業」が16.5%となっています(図1)。「サービス業」は9.2%、「情報通信業」は5.7%と低く、業種によって割合に差があることがわかります。どの企業であっても活用しやすい経営資源(例えば、製品・商品などの在庫や、加工機械や厨房機器といった汎用性のある設備など)を必要とすることが多い業種では、譲り受けの割合が相対的に高いようです。

図1 業種別にみた経営資源を譲り受けたことがある企業の割合 資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営資源の譲り受けに関するアンケート(事前調査)」(2017年)<br>

注:詳細調査の調査対象について集計したもの。

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営資源の譲り受けに関するアンケート(事前調査)」(2017年)
注:詳細調査の調査対象について集計したもの。

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