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投資レジェンドが教える ヤバい会社

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成功する社長は「ケチ」「メモ魔」「細かい」

レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野 英人氏

「ラーメン店をつくって成功しそうな社長」の会社に投資する

 社長インタビューが終わったときに注意して見ているポイントに、「自分が座っていた椅子を元の位置に戻すかどうか」「お茶やコーヒーのカップを机の端に寄せるかどうか」があります。

 これは「椅子を戻さなければダメ」「カップをそのままにする社長はダメ」ということではないのですが、椅子を戻したりカップを片づけやすいようにしておいたりするのは「加点ポイント」になります。こうした動きを自然にできるのは気が利く人であったり、偉ぶらず自ら動く人であったりすると思うからです。

 これまでの経験では、創業社長は口ぶりが偉そうだったり強面で口うるさかったりするタイプでも、こうした「後片づけ」を自分でやる人が多いといえます。おそらく、創業期などに自分でなんでもやっていた経験があるからでしょう。

 これと似た考え方で、私は企業のトップについて「この人がラーメン店を経営するとしたら、繁盛店になるかどうか」を想像してみることがあります。「繁盛店をつくれそうな人に投資する」と考えると、成功しやすいからです。

 ラーメン店の経営というのは総合的な能力が求められます。おいしいラーメンをつくって提供してお客様に喜んでもらうこと、お客様とコミュニケーションすることはもちろん、マーケティングやプライシング、商品開発力も問われますし、会計だってできなくてはなりません。店が大きくなればアルバイトなどを採用し、人材育成もしていくことになります。

 たとえば日産自動車のカルロス・ゴーン会長やソフトバンクグループの孫正義社長がラーメンをつくって出している姿は、実は想像しやすいと思いませんか?

 私には、きっと彼らは人気のラーメン店をつくってどんどんチェーン展開するに違いないと思えます。こうして考えてみると、経営者として人をモチベートする力というのは、サラリーマンが出世競争を勝ち抜く力とは本質的に異なるものなのだということにも気づくでしょう。

 逆に「ラーメン店を経営して失敗しそうな人」というのは、たとえば「気が利かない」「偉そうにしていて自分では動かない」「愛嬌がない」「オーナーシップがない」人です。東芝問題の報道で歴代社長のインタビューを見たときは、「この人たちがラーメン店をつくったら、つぶしてしまっていただろうな」と思ったものです。

 皆さんも、投資先などの企業のトップについて「この人はラーメン店をつくって成功させられそうかな」とイメージしたり、その会社の従業員と「社長がラーメン店をつくったら成功させられそうだと思いますか?」と話したりしてみてください。きっと、新たな気づきが得られるはずです。

藤野英人著 『投資レジェンドが教える ヤバい会社』(日本経済新聞出版社、2017年)第1章「会社の性格は社長で決まる!」から

藤野 英人(ふじの ひでと)

レオス・キャピタルワークス代表取締役社長。最高投資責任者(CIO)。「ひふみ投信」ファンドマネジャー。
1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で日本株のファンドマネジャーとして活躍。2003年、レオス・キャピタルワークス創業。運用する「ひふみ投信」「ひふみプラス」は、高パフォーマンスをあげ続け、R&Iが選定する「R&Iファンド大賞2017」では最優秀ファンド賞をダブル受賞(NISA部門)。明治大学兼任講師。JPXアカデミーフェロー。主な著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『ヤンキーの虎』(東洋経済新報社)など。

投資レジェンドが教える ヤバい会社

著者:藤野英人
出版:日本経済新聞出版社
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