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リクルートのすごい構"創"力

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すべての事業の基盤は「リボンモデル」

ボストンコンサルティンググループ日本代表 杉田 浩章氏

 リボンモデルは、ビジネスの立ち上げから運用、拡大、リニューアルに至るまで、さまざまな場面で活用される。事業を立ち上げる際は、そのアイデアをリボンモデルに当てはめて詳細な分析を行うし、いったん立ち上がったビジネスでも、そのポテンシャルを最大化するために、いかにリボンモデルの左右のリボンを拡大するか、コンバージョン率をどう上げるか、どうしたら結び目(ベストマッチング)を最大化できるかを頻繁に、しつこく突き詰める。

ビジネスの視野を自然にぐっと広げる

 リクルートのビジネスは、採用・求人、住宅、結婚、旅行、飲食、美容など、ジャンルも多岐にわたり、一見何の共通点もないように見えるが、実はすべてリボンモデルで表現できる。

 そしてこのリボンモデルは、リクルートのような情報ビジネスにしか当てはまらない概念のように見えるが、実は世の中のすべての事業は、このリボンモデルに当てはめることができる。例えば楽天やアマゾンなどのECモデル、アスクルや保険の窓口などの購買代理業モデルも、明らかにベストマッチングを追求したビジネスモデルだ。

 商品やサービスを求める消費者と、これらを提供する小売店やメーカー、サービス提供者を、集め、動かし、結ぼうとしている。

 アップルのiPhoneも、「さまざまな生活シーンに合わせていつでもどこでも有用で楽しい情報を得たい」と考える生活者と、それに応える多様なコンテンツを結びつけたベストマッチングだ。

 利用者を集めた人気商品・サービスになったのに、売上や利益が伸びずに撤退してしまった新規事業は、リクルートのリボンモデルで言うところの「リボンの片側しか見ていなかったから」ということが非常に多い。特に、収益化が成らなかったベンチャー企業にはこのケースが多いように思う。ビジネスの視点が、自社と消費者・サービス利用者という2者だけで閉じているのだ。

 こうした企業では、ビジネスのフォーカスはあくまでも、消費者の「不」の解消だけだ。産業構造全体が持つ「不」、社会が抱える「不」には思いが至らない。すると、どうしてもビジネスの設計が、既存の業界構造や固定概念ありきのものとなり、イノベーションを生み出すような新しいものが生まれない。

 リボンモデルを設計することは、ビジネスの視野を自然にぐっと広げる。既成概念に囚われず、業界全体、社会全体を変えるほどのイノベーションにつながるような、斬新なアイデアを生み出すためのツールになりえる。

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