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リクルートのすごい構"創"力

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すべての事業の基盤は「リボンモデル」

ボストンコンサルティンググループ日本代表 杉田 浩章氏

 リクルートが、多くの新規事業を世に出し、継続的に収益を上げ続けているのは、一握りの「天才」たちの力によるものでもなければ、偶然の産物でもない。できるだけたくさんの、新規事業の「種」を見いだし、それを高速で磨き上げながら市場に出すための仕組みや、市場に出た後も事業の衰退を許さず、継続的に成長させていく手法を、しっかりと社内に根付かせ、愚直に、しつこく実行しているからだ。仕組みやフレームワーク=「構え」でアイデアを事業へと創り上げていく。こうしたリクルートの「構"創"力」について解き明かしていく。

「ベストマッチング」の仕組みを提供

 リクルートの最大の強みは、その「リボンモデル」にある。これは、自社だけでなく産業構造全体を俯瞰(ふかん)した「リボンモデル」を使ってビジネスを設計する手法だ。リクルートが成長を続けている秘密の一つがこれだ。

 リボンモデルは、さまざまな目的で使われる。対象のビジネスがどれくらいのポテンシャルを秘めているのかを見極めるためにも使うし、事業を成功させるうえでクリアすべきポイントは何かを探し、進むべき道を探索するための〝海図〟としても使われる。リクルートでは、新人から経営幹部に至るまで、ありとあらゆる部署や役割の社員がこのモデルを深く理解していて、日常的に活用している。

 リボンモデルは、蝶ネクタイのような形をしている。左側の三角が、個人や一般の消費者(カスタマー)、右側の三角が、企業や事業者(クライアント)で、両者をつなげる結び目がリクルートだ。

リボンモデル リボンモデル

 左右両サイドの端では、まず個人や企業を「集め」、何らかの働きかけをすることで両者の行動を変化させて「動かし」、中央のマッチングポイントで「結びつける」ことでリクルートが収益を上げる。この結び目が大きければ大きいほど、マッチングの総量は大きくなる。この総量が増える(ベストマッチングが増える)と、自分の求めるものを見つけられる個人が増えることになるし、企業は、商品やサービスを求める人に、よりたくさん提供できることになる。

 結び目を最大化するためには、左右両端のリボンの幅を広げる(より多くの個人、より多くの企業を集める)ことに加え、マッチングのプロセスの途中で脱落する率を下げて、中央の結び目に至る際の減衰を抑える(コンバージョン率を最大化する)ことが必要だ。つまり、より確実に、求められるものを求める人に届けることがポイントとなる。

 リクルートの役割は、左側の個人と、右側の企業を、両端でより多く集め、より確実に動かしてたくさん結びつける「ベストマッチング」の仕組みを提供することだと定義される。

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