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米政権への信任低下でドルは年内小幅な動きか

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

当面のドルの上値はおのずと限られる

 もちろん、いまだ市場は「FRBが年内にもう1回追加利上げを実施する可能性がある」との見方を封印してはいない。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を含め、まだ利上げ実施の決定を下す機会は十分にある。

 ただし、そこまでのことは市場もすでに大分織り込んでいる。仮に「9月のFOMCで前倒し実施」ということにでもなれば話は別だが、単に「米、12月利上げの見通しに変わりなし」というだけでは、当面のドルの上値もおのずと限られてくる。

 まして、5月初旬の仏大統領選でマクロン氏が勝利してからというもの、市場では欧州政治リスクが大幅に後退し、同時に南欧金融機関の不良債権問題も解決への一歩を踏み出していることから、足下でジワジワとユーロの人気が高まり続けており、結果としてドルが劣勢に立たされる状況にもなっている。もちろん、対ユーロでは円も劣勢にあることから、対ドルでも極端な円高には向かいにくい。

 とはいえ、下図に示すように結果的にドル(対円)の月足チャート上において、ついに7月の月足・終値が一目均衡表の月足「雲」のなかに潜り込む展開となったことは紛れもない事実であり、そのことや31カ月移動平均線(31カ月線)の存在によって、当面はドルが対円で上値を伸ばしにくい状況が続く可能性もあると見られる。

ドルの下値を支える一目均衡表の月足「雲」

 これまで本記事でも触れてきたが、ドル(対円)の月足での推移を振り返ってみれば、過去に幾度も重要な局面で月足「雲」の上限水準が重要な役割を果たしてきている。繰り返すも、2013年5月以降の数カ月間はドルの上値を押さえる役割を果たしたし、2016年秋口にはドルの下値を支える役割(このときは62カ月移動平均線=62カ月線もドルの下値を支えた)を、そして2017年の4月から6月にかけても、やはりドルの下値を支える役割を果たしてきた。

 「そんな迷信めいたもの」と思われる向きもあるかもしれないが、一目均衡表をはじめ過去の賢人たちが編み出したさまざまなテクニカル分析の手法というものが存在することは事実であり、それを有効活用しようと考える投資家が数多く存在していることも事実で、実際にチャート上で確認できるテクニカル分析上のシグナルというものが強く視覚的に訴えてくることも否定はできない。

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