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米政権への信任低下でドルは年内小幅な動きか

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 2017年も、はや半分以上の月日が経過したわけだが、この間、対円でのドルは長らく調整含みの展開に終始している。「とにかくドルが弱い」ということは、年初からこれまでに対ドルでユーロがどれだけ値上がりしたかを見ても明らかである。これもひとえに「米政権に対する国際的な信任が嘆かわしいほどに低いことの表れ」と思われる。

 1月下旬に米大統領に就任して以来、果たしてドナルド・トランプという人物が、アメリカ合衆国連邦国家ならびに世界の国々・地域への貢献で、何か一つでもなし遂げたことがあるだろうか。成果と言える成果が一つも挙げられぬ一方で、疑惑の種はばらまくだけばらまき、その挙句にトランプ氏は、かつてオバマ時代に自ら声高に「あり得ない」と批判していた"大統領の夏休み"に専用ヘリで平然と飛び立ってしまった。ここまでひどいとは思っていなかったので、正直、ここまでドルが弱くなるとも思っていなかった。

 いまだ米経済は、財政政策に役割の一部を委ねることができない状況にあるが、金融政策による適切な手綱さばきのおかげでジワジワと足下で成長の歩みを進めてはいる。しかし今後、もう一段の成長加速に期待するなら、やはりどうしても「財政」の協力が欲しいところだ。かねてより「財政」と「金融」は政策の両輪と言われ、確かにどちらか一つが欠けても困るのは事実だが、実はそれぞれに持つ役割や目的、必要なタイミングが少し異なるということもまた事実である。

 "大統領の夏休み"が終わったら、まるで「人が変わったようになっていた」ということもトランプ氏にはないだろう。よって、今秋以降も「財政」の出動に関する前向きかつ具体的な議論はなかなか進まず、なおも「金融」のみの片肺飛行で極めて緩やかな成長に留まる状態がしばらくは続きそうである。仮に米大統領の弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)、そして副大統領の大統領就任などという展開にでもなれば別だが、そうでない限りは少なくとも年初に掲げた金融相場の行方(「2017年、円安&株高はどこまで進む?」)についての想定・シナリオを一部訂正することも余儀なくされよう。

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