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ビジネスに役立つ「歴史書」10冊

 8月に入ってからも梅雨の続きのような天候が列島を覆う。こんな時は普段読む時間がないアカデミックな本を繙(ひもと)いてはどうだろうか。海外ビジネスから社内政治まで、今年発行の書籍を中心に「ビジネスに役立つ歴史書」10冊を選んでみた。

信長家臣団の派閥事情が示すもの

夏の緑陰読書。今年は歴史ジャンルで。 夏の緑陰読書。今年は歴史ジャンルで。

 まずは「織田信長の家臣団」(和田裕弘著、中公新書、税抜き900円、以下同)。織田家は尾張半国の20万~30万石(推定)から約四半世紀後に約700万~800万石(同)へと急成長した。拡大した組織の中でどう生き残るか。羽柴(豊臣)秀吉、明智光秀、柴田勝家ら重臣らの派閥構成と人間関係、その形成過程を一次史料などから網羅した力作だ。「戦国時代」は出身地や門閥にとらわれず、本人の能力次第で将来を切り開いていけた時代とのイメージが強い。しかし著者の和田裕弘氏は「実力はもちろんだが人脈による側面も大きかった」と指摘する。注目すべきは秀吉だという。「信長存命中から外様武将と義兄弟の契りを結び、さらに信長の実子を養子にもらい受けるなど抜け目なく盤石の人脈を築いていた」としている。

 経営トップ、あるいは将来の起業を視野に入れている読者はぜひ「織田信長 不器用すぎた天下人」(金子拓著、河出書房新社、1600円)の一読を。武田信玄や上杉謙信ら、これぞと見込んだ相手には絶妙な外交手腕で必ず友好関係を築いた。しかし最後は必ず離反されてしまうのだ。抜てきした部下にも裏切られる。「信長の失敗例から相手先や部下との関係構築での注意点が見えてくるかもしれない」(金子拓・東大史料編纂所准教授)。

倉本一宏・国際日本文化研究センター教授 倉本一宏・国際日本文化研究センター教授

 海外ビジネスを展開していく上でその国の歴史や慣習の知識は欠かせない。東アジア市場ならば日本の大陸進出などの過去があるだけに、より慎重に対応したい。「戦争の日本古代史」(倉本一宏著、講談社現代新書、880円)は、近現代史だけではなく4世紀以来の日中韓の外交・戦争史を通観しなければならないと警鐘を鳴らす。近代以前の日本の海外戦争は「白村江の戦い」など3回で、今日の「反日」「侮日」、さらに「嫌中」「嫌韓」の潮流は古代から醸成されてきたという。大陸の無責任、半島のご都合主義、列島の慢心--などの要因が複雑に絡んでいた。北朝鮮のミサイル実験が止まらない中、「戦争に巻き込まれる可能性が高まってきた今だからこそ古代史に立ち返る必要がある」と倉本一宏・国際日本文化研究センター教授は説く。

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