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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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VRは発想の制約を取っ払う理想空間

第7回 GOROman こと 近藤義仁・エクシヴィ代表取締役社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

日本には「建設的な破壊」が必要

長島 考えたアイデアは、どれくらいの期間で実現していますか。

近藤社長の代わりに「出社」したクマのぬいぐるみ 近藤社長の代わりに「出社」したクマのぬいぐるみ

近藤 大体、数年後には実現していますね。例えば、つい最近、自分の代わりにクマのぬいぐるみをオフィスに置いて、VRを使って会議をする試みをやってみました。僕は家でヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)を付けて、リコーの全天球ライブカメラ「RICOH R」で撮影したオフィスの様子を、リアルタイムでHMDに送信してもらう。「VR技術を使えば、通勤地獄から解放される」というアイデアは、2010年くらいからずっと言ってきたことです。

 もう一つ、レジの無人化も5年以上前から言っていました。商品にICタグを付けて、ポストペイド(料金後払い)のシステムにして、顧客が店を出ると同時に自動精算する。これが普及すれば、万引きという概念はなくなります。つい最近、上海のコンビニで実験されていました。「ほらできた」と思いましたね。日本じゃなかったのが、ショックではありましたが。

長島 日本では、そういう実験的なことがなかなか実現しませんね。

近藤 みんなが便利になる画期的なイノベーションは、得てして既存の権利を持っている人にとっては脅威となり、反発されます。新しいことをするには、「建設的な破壊」が必要なんですけどね。日本も中国のように、いろんなことが試せる特区を作るべきです。

長島 新しいアイデアを次々に思い付く一方で、レトロなものも好きですよね。

近藤 僕は「デジタル温故知新」と呼んでいます。ゼロから未来を予測するのは難しいですが、過去を学び、現在をみると、未来が見えてくる。数学でいえば、複数の点を結ぶと、その曲線の先に予想される点が導き出せる「外挿(がいそう)」の概念ですね。例えば、VRの未来を予測する時に、8ビットや16ビット時代のパソコンの仕組みを学び直すと、その時の技術進歩のカーブが見える。それを横にずらして、今の時代に当てはめてみるわけです。

 僕は小学2年生のころからプログラミングをやっていたのですが、その頃はブラックボックスでよくわからなかったことが、今の自分ならわかる。まるで魔法が解けるような快感というか、カタルシスが得られて、すごく面白いんですよ。それと、その頃の技術をリスペクト(尊敬)したいという気持ちもあります。

長島 そう言えば、少し話が脱線しますが、近藤さんとお会いするきっかけは、前々回の対談(機械も人も「つなげてまとめて」価値を生む)で登場したベッコフオートメーションの川野俊充社長からの紹介ですが、小さい頃からご存じだったとか。

近藤 そうなんですよ。僕はプログラミングを始めてから、当時ホビーユーザーに絶大な人気を誇った雑誌「マイコンBASICマガジン」(電波新聞社、現在は休刊)、通称ベーマガを愛読していました。川野さんは中学生の時から、その雑誌に「はちみつ川野」のペンネームで記事を書いていらしたんです。僕はその記事のファンだったのですが、最近になって、川野さんが僕に関する記事をフェイスブックで見つけて連絡をいただき、「川野さんって、もしかして『はちみつ川野』さんですか」と聞いたら、そうですと(笑)。

長島 そこからお付き合いが始まったわけですね。

近藤 はい。ベーマガの編集をされていた「編さん」こと及川健さんとも、お付き合いさせていただいています。昔は「編さん」は架空のキャラクターで実在していないと思っていたんですが(笑)。

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