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GRIT!やり抜く変革マネジメント

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熱い「想い」は科学的に変革へつなげよう!

マネジメントソリューションズ 横江真由美氏

 昨今、多数の企業変革プロジェクトが行われていますが、経営者が成功と感じるものは決して多くありません。この連載では、そうした状況をあえて「変革の失敗」と表現し、「変革がなぜ失敗するのか?」という基本的な問いに対する答えを提示していきます。第2回では、第1回で説明した社長の「想い」を科学的なマネジメントによって確実・迅速に変革へつなげるためのポイントを紹介しましょう。

社長の熱い「想い」だけでは変革につながらない

 押し寄せるビジネス環境の変化に対応するため、企業にはビジネスや組織を柔軟に変革する能力が求められていますが、ビジネス環境が変化するスピードは年々速くなっています。社長をはじめとする経営陣の熱い「想い」をビジネスや組織の変革に結びつける際に時間がかかっていてはライバルに後れを取ったり、業界再編の波に飲み込まれたりするかもしれません。

 また、せっかく熱い「想い」を持っている社長の方々の中に、その「想い」を具体的な変革活動に結びつけられない方が少なからずいらっしゃいます。相談に来られたときに理由を尋ねると「何をしたらよいのかわかりません」「担当者はアサインしたのですが、誰も動きません」といった返事がきます。

 こうした事態を防ぐには、どうすればよいのでしょうか?

 連載第1回「社長の『想い』、伝わっていますか?」で説明したように、変革のハードルを乗り越えるための基本的なプロセスはジョン・P・コッター氏の著書『企業変革力』などに整理されています(図表1)。同氏は、大規模な企業変革において発生しやすい8つの過ちを回避するために8つの変革プロセスを定義しました。変革を本当の成功に導くためにはそれぞれを確実・迅速に実行し、科学的に変革へつなげる必要があります。

図表1 大規模変革推進のための8段階の変革プロセス(第1回の図表1の再掲)

 さらに、これも連載第1回で指摘しましたが、変革のプロセスは、社長が思っている以上に、"形だけ"のものになりがちです。変革の"規模"は年々大きく難しくなり、変革の"頻度"も増えていますので、世に「変革の失敗率は約70%」といわれているのもうなずける部分があります。

 そこで、ここでは図表1に挙げた8つの段階から、規模を問わず、どの変革においても重要なものとして「ビジョンと戦略を生み出す」「変革のためのビジョンを周知徹底する」「従業員の自発を促す」「新しい方法を企業文化に定着させる」の4つを選び、そのポイントを詳しく見ていきましょう。変革を成功させるために、社長の「想い」は重要ですが、「想い」だけが空回りすることも避けなければなりません。

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