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泉田良輔の「新・日本産業鳥瞰図」

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サントリーは世界の蒸留酒業界で戦えるのか?

GFリサーチ 泉田良輔氏

 夏はビールがうまい季節だが、国税庁の統計「酒類販売(消費)数量」によると、国内のビール消費量は1994年度(平成6年度)をピークに減少トレンドになっている。1994年度を100とすると2015年度は約38。21年間で約6割減少しており、「日本人はビール離れをしている」と言われる。

 その一方で、蒸留酒の一種であるウイスキーは2008年度をボトムに回復傾向を示している。2008年度のウイスキーの消費量を100とすると2015年度は181で、約8割も増えた。

 酒類の国内消費動向がこうした変化を見せる中、気になるのがサントリーホールディングス(サントリーHD)を統括会社とするサントリーグループの動きである。サントリーHDは2009年にキリンホールディングスとの経営統合の話が出て2010年に立ち消えとなったが、2014年には「ジムビーム」などで知られる米蒸留酒大手ビーム(現在は、ビームサントリー)を買収。蒸留酒に力を入れる戦略に打って出た。

 今回は、世界の主要な蒸留酒メーカーの動きを鳥瞰(ちょうかん)しながら、サントリーの蒸留酒における事業戦略を検証していきたい。

国内の酒類消費量は長期的に減少

 まず、改めて国内におけるお酒の消費動向をおさらいしておきたい。下図は国税庁の統計をもとに、1989年度から2015年度までのお酒の種類ごとの販売(消費)量推移を示したものである。

<b>国内の酒類販売(消費)量の推移(単位:千キロリットル)</b> 出所:国税庁の統計をもとにGFリサーチ作成

国内の酒類販売(消費)量の推移(単位:千キロリットル) 出所:国税庁の統計をもとにGFリサーチ作成

 すぐ分かるのは、酒類全体の消費量は1996年度がピークで、上下動はあるものの、同年度から2015年度まで長期的な減少トレンドに入っていることだ。

 また、冒頭で説明したように、ビールの消費量は、1994年度をピークに2015年度まで大きく減少した。2015年度は実にピーク時の約4割の消費量に落ち込んでいる。

 ただし、この数字をもとに、「日本のビール好きが半減した」とまでは言い切れない。本物のビールが好きな方には怒られるかもしれないが、「発泡酒(麦芽使用比率が低いビール風味発泡アルコール飲料)」や「新ジャンル(発泡酒と別の原料で作られたビール風味発泡アルコール飲料。上記統計ではリキュール類に含まれるものもある)」を広い意味のビールと考えると状況は違ってくる。

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