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しくじる会社の法則

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ネット発信情報の「ツッコミ」どころ

ジャーナリスト 高嶋 健夫氏

 「しくじる会社」と「伸びる会社」はどこが違うのか。35年以上の取材歴、会った社長も約1000人。経験豊富な企業ウオッチャーだから語れる、財務データではわからない会社の見分け方を紹介します。5回目は「ネット情報のツッコミどころは」――。

市場・消費者に向き合う姿勢の見分け方

 企業に関する情報収集は、その会社のホームページ(HP)を調べることから始まります。私が必ずチェックしているのは、5つのポイントです。

会社の電話番号はきちんと掲載されているか(企業概要、商品サイトなど)
会社へのアクセスマップはどのように作っているか(事業所案内など)
いろいろな情報の更新頻度に極端なバラツキはないか(更新履歴その他)
自前の直販サイトを作っているか(会社サイト、または商品・ブランド別サイト)
地元の公共機関や公益法人などへのリンクが張ってあるか(トップページなど)

ホームページをチェックするポイントは? ホームページをチェックするポイントは?

 ここでは③④⑤についてお話しします。③と④は、ビジネスの根幹に関わる企業の「商人(あきんど)としての姿勢」を問う意味で見ているチェックポイントです。「御社は本気で、お客様(顧客)や潜在顧客である一般消費者に向き合うつもりはあるのか」という質問への答えが、以下のようなところに自ずと現れているのではないか。私なりの1つの問題提起です。

 

情報更新頻度のバラツキ
 具体的にどういうことかというと、典型的なのが「IR情報は頻繁に更新しているのに、肝心かなめの製品・サービス情報の新ネタはさっぱり上がってこない」といったタイプの企業HPです。

 あなたもそんな企業HPを見たことはないでしょうか。数は多くはありませんが、私はいくつかの会社で似たような現象があったことに気づきました。どれもIPO(株式公開)を計画中、またはIPOを実現したばかりの新興企業のHPで、恐らく、急成長したベンチャーに固有の現象だと考えますが、「一体どこを向いて仕事をしているんですか?」と聞きたくなってきます。

 そのうちのある加工食品会社のケースでは、新製品や季節限定商品を発売する時にはちゃんとプレスリリースを作り、つながりのあるメディアに郵送しているにもかかわらず、それをHPにはまったく上げていませんでした。なんとも、トンチンカンな広報活動をやっていたのです。

 直接的な原因は、広報体制が十分に整っていないことにありそうです。まだ所帯が小さいため、担当者の人数が少なく、知識・経験・ノウハウも不足しているので、「何を置いても、今はIR」になっていたのだろうと拝察します。

 それでも、そもそも論で言えば、これは手順前後にも等しい間違った姿勢だと思います。極論すれば、この行き着く先にあるのは「本業を忘れたマネーゲーム」かもしれません。どんな場合も、真っ先に向き合うべきステークホルダーは「商品を買ってくれる消費者」です。

 その他の「情報のバラツキ」には種々雑多なものがありそうです。わかりやすい例としては「目下キャンペーン中の新商品の話題は賑やかに紹介されているのに、ずっと前からある定番商品についてはラインナップのところに載っているだけ」といったケースはよく見かけます。

 当然と言えば当然で済んでしまう話ですが、長年その定番商品を愛用してきた固定客・ファンは置き去りにされたようなちょっと寂しい思いを感じているかもしれません。その会社の「製品愛」やそれを支えてくれているお得意様への「お客様愛」が、そんなところからうかがえる場合だってあるのです。

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