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肖敏捷の忠言逆耳

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早熟すぎる資本輸出国の弱点

SMBC日興証券 中国担当シニアエコノミスト 肖 敏捷(しょう びんしょう) 氏

M&A界における「爆買い」現象

 2016年、海外企業による対中直接投資額が前年比7%減の1260億米ドルとなったのに対し、中国の対外直接投資額は前年比40%増の1701億米ドルに達した。中国は2002年から対外直接投資統計を公表し始めたが、対外直接投資が対内直接投資を上回ったのは2016年が初めてのことである。(下図は対内と対外直接投資の推移)


(出所)中国商務部、SMBC日興証券 (出所)中国商務部、SMBC日興証券


 実際、2000年以降、中国は米国と並んで世界有数の直接投資の受け入れ国として注目されてきたが、ここ数年、中国の人件費の上昇、環境汚染、景気減速、サービス産業の対外開放の遅れなどを背景に、その勢いが明らかに鈍化している。

 対照的に、中国企業による対外投資が本格化し、グローバル規模における中国企業の進出に関する記事を目にする機会が急増している。特に話題を呼んでいるのは、中国企業による海外企業の買収である。製造業からサービス業まで大型買収案件が次々と公表された。その範囲は、欧米からアフリカまで拡大し、M&A業界で中国企業の「爆買い」現象が起きている。

 では、中国企業の対外進出がなぜ加速しているのか?「走出去」に象徴されるように、2000年以降、政府が企業の海外進出を後押している。当初、貿易摩擦の激化を避けるため、家電などのメーカーが海外で生産拠点を設けるのが主流だったが、その後、中国の内需拡大を受け、資源やエネルギーを確保するために鉱山や油田などの投資案件が急増した。

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