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GRIT!やり抜く変革マネジメント

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社長の「想い」、伝わっていますか?

マネジメントソリューションズ 有馬亮二氏

 この事例でわかるように、変革プロジェクトのリーダーが自身の「想い」を伝える際は、「シンプル」かつ「双方向」であることを心がける必要があります。また、最終的に「想い」を共有した人材をノウハウとともに持続的な組織に移転することが重要です。

 変革プロジェクトは一般的に複雑です。アクションプランで定義した、一つ一つのアクションを期日までに終わらせることが自己目的化してしまい、本当の目的を忘れてしまうことが珍しくありません。しかし、このプロジェクトのリーダーは、それを許しませんでした。「何のためにやるのか?」を、リーダーの責任として、伝え続けたのです。

すべてのプロセスにおいて「想い」を伝える

 いかがでしょうか?私は、このように数値化できない「想い」を伝えることこそ、変革プロジェクトを本当に成功させるための最重要ファクターと考えています。変革プロジェクトを支援するときには、コッター氏が挙げた8段階の変革プロセスに従って、アクションを実行するとともに、「想い」を持続的に伝えるようにしています。

 まず、段階1の「危機意識を高める」変革プロセスで、リーダーの「想い」をメンバー全員に伝えます。そこで理解をしてその後の活動を首尾よく進めてくれればよいですが、そうはうまくいきません。段階3で定義したビジョンと戦略を、段階4で周知徹底するとともに、各変革プロセスにおいて「想い」を改めて伝える努力と行動が必要です。リーダーの「想い」を、マネジャーやメンバーが伝道師となって、プロジェクトの枠を超えて組織の隅々まで伝えていくような状態を目指します。

 みんなが「想い」を一つにして、目標達成に向かってまい進する――そんな会社・組織であれば、従業員が高いモチベーションを持ち、業務の生産性も上がり、持続的に業績が向上することは明らかです。

 変革プロジェクトを推進すると、その過程で「メンバーである従業員が成長する」効果も期待できますが、その際も社長の熱い「想い」が不可欠です。「想い」に共感し、従業員全員が自分のこととして変革に取り組んで目標を達成した暁(あかつき)には、従業員が一まわりも二まわりも大きくなることは間違いありません。その従業員の成長も、リーダーが変革プロジェクトで求めていることではないでしょうか?

 もし、このような変革プロジェクトを推進した方に、冒頭に行った質問「自身がリードした変革が成功したと言えますか?」と尋ねたら、「Yes!」と答えるでしょう。そして、「社長の想い、伝わっていますか?」という質問にももちろん、「Yes!」と答えるはずです。


有馬 亮二(ありま りょうじ)

株式会社マネジメントソリューションズ、エグゼクティブ・ディレクター。日系プラントエンジニアリング会社、米国系コンサルティングファームを経て、2016年より現職。SCM業務/組織の設計・導入、チェンジマネジメント~定着化まで幅広く従事、特にグローバル企業の海外販売戦略立案、業務/組織設計、営業改革に強みを持つ。一貫してグローバルプロジェクトのマネジメントに携わり、香港・ドイツ・サウジアラビア・英国・マレーシア・パキスタン駐在で実感した"世界で戦う日本"企業の強みをさらに高める支援をすべく、現在は、真の"企業変革"実現に向け、人・組織にフォーカスを当てた「"想い"をつなぐ戦略実現コンサルティング」サービスを提供している。

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