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GRIT!やり抜く変革マネジメント

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社長の「想い」、伝わっていますか?

マネジメントソリューションズ 有馬亮二氏

 コンサルタントのAさんは梅雨が終わりに近づいた7月中旬、3年前まで全社的な経営変革プロジェクトを支援していたクライアント企業の社長を久しぶりに訪ねました。製造業である同社の経営変革プロジェクトは計画通り完了しており、この訪問は仕事ではありません。しかし、Aさんは常々気にしていることがありました。プロジェクトを終えたあと、クライアント企業が持続的に変革を続けているのかという点です。数々のクライアント企業を支援してきたAさんは、それを確認するため、自主的に支援企業を訪問していますが、多くの企業に共通する、ある事実に気づいていました。

 応接室に通されたAさんは、やがて現れたX社長の顔色を見てだいたいの状況を悟ります。電話で今日のアポ入れをしたときもX社長の声にはどことなく、勢いがありませんでした。時節の挨拶のあと、Aさんは本題に入ります。

コンサルタントA:社長、お忙しいところ、お邪魔させていただき、ありがとうございます。プロジェクトが終了して3年が経ちますが、いかがでしょう?
X社長:あのプロジェクトは今でもよく思い出すよ。だが、......
コンサルタントA: (言葉を選んでいる様子を察知して)やはり、プロジェクトが終わったら元に戻ってしまったような状況でしょうか?
X社長:別に、あのプロジェクトを否定するわけじゃないが、前より悪くなった気がしているんだ。
コンサルタントA:具体的にはどのようなところでしょうか?
X社長:リードタイム短縮、納期順守率向上、在庫の削減といった大きな目標を掲げ、大金を使って、プロジェクトメンバーも必死で頑張った。滑り出しは順調だったよ。しかし1年たっても目標には届かなかった。2年目、3年目も同じだ。もし、プロジェクトに費やした時間と金を他の投資に使っていたら、もっと別のことができたのではないかと考えることもある。やるべきことはすべてやったつもりだが、何が足りなかったのだろうか?

 これは架空の企業の話ですが、これに近い状況の企業は少なくないと思います。当然ながら好ましい状況ではありませんし、企業変革プロジェクトに関わる者としては想像さえしたくありませんが、残念ながら実在します。

 近年、多くの企業において、「○○改革」「XXリエンジニアリング」などと呼ばれる、企業変革プロジェクトが実施されています。時代の変化は急激で、変革の必要性は高まる一方ですが、食傷気味の方も少なくないかもしれません。

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