日本経済新聞 関連サイト

先読み&深読み 経済トレンドウォッチ

記事一覧

米経済はバブルの入り口?欧・米金利の行方を考える

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 去る6月27日、ポルトガルのシントラで開催された欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムにおいてマリオ・ドラギECB総裁が放ったいくつかの発言の一部が今、足下の金融市場をザワつかせている。

 この日、ドラギ氏は「デフレ圧力がインフレの力に置き換わった」「インフレ率を低く抑えている要素の大半は一時的なものだ」などと語り、それが市場では「ついにECBが先行きの金融緩和(債券購入プログラムの規模)縮小に向けて舵を切り始めた」などと捉えられたもようである。結果、欧州債利回りが全般に急上昇し、ユーロが強く買い進められた。

 ドルは対ユーロで弱含みの展開となったが、欧州債利回りの上昇につれて米債利回りも上昇したため、対円ではドルの方が強含みとなり、この記事を執筆した7月4日時点の円は主要通貨に対して全面安の傾向にある。その一方では「金利の低位安定という前提が崩れると、世界の株式や国際商品の相場にマイナスの影響が及ぶ可能性がある」と警戒する声も聞かれ始めている。

 果たして今後、欧・米の金利には一気に上昇圧力がかかるのか。仮に、欧・米の金利が実際に上昇し始めたときは、たちまち株価や国際商品価格に強い調整圧力がかかるのか。市場の見立てや判断には少々極端な部分もあるようで、ここは少し冷静に国際金融市場全体の行方についてあらためて考えておきたい。

ECB総裁発言に対する市場の反応は極端

 まず、欧州経済と金利について考えてみる。先のドラギ総裁発言と市場の反応については、直後に一部報道機関が関係者の話として「総裁の発言について、ECBは市場が判断を誤ったと見ている」と伝える一幕があった。この報に市場は一瞬たじろいだかに見えたが、結局は無視を決め込む格好となり、その後も欧州債の売り(利回りは上昇)とユーロの買いはしばらく続いた。

PICKUP[PR]