日本経済新聞 関連サイト

石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

記事一覧

複雑なものを、複雑なまま、ビジュアルに!

電脳クリエイターの出雲翔氏に聞く

予防医学者 石川善樹氏

ビールとミルクが合う理由

石川 それはどのようなものですか?

出雲 味の決め手の一つが、食材に含まれる「香り」です。専門的には「風味化合物」といわれます。西洋料理は、同じような香りを持つ食材を組み合わせると、相性がいいということが知られています。たとえば、「チョコレート」と「ブルーチーズ」は73の風味化合物を共有しています。このような関係性をビジュアル化したのが、「フレーバー・ネットワーク」と呼ばれるものです(クリックしてください)。

石川 これは......気持ちがいいネットワーク図ですね(笑)。

出雲 はい、苦労して作成しました(笑)。たとえば、「牛肉」と「コーヒー」をみると、線でつながっています。これは同じ風味化合物が含まれていることを意味しています。そのため、「牛肉のコーヒー炒め」はとても合うことになります。実際、パリの星付きレストランでも、そのような料理が出されていますし、試してみるとすごくおいしいんです!

石川 もっと意外なのが、「ミルク」と「ビール」ですね。

出雲 実際に混ぜると、少し苦みのあるカフェラテのような味です(笑)。

石川 試したんですね(笑)。

出雲 風呂上がりに子どもはミルクを飲み、大人はビールを飲みますが、実は混ぜるとおいしかったというわけです(笑)。普通に考えればとても思い付かないものが、ビジュアライゼーションによって見つかる良い例だといえます。

石川 なるほど!ただ単に「ビールとミルクが合う」と結論だけを言われても意外すぎて信じられないですが、ビジュアライゼーションのおかげで「なぜ合うのか?」に対する「理解」が得られるところがポイントですね。今回の場合は、ビールとコーヒーに共通する風味化合物があるのだと。

出雲 今までは天才シェフの直観の世界だったことが、可視化によって素人にも可能になります。この「フレーバー・ネットワーク」を見るだけで、料理に対する理解はかなり進むはずです。

石川 なるほど。これがビジュアライゼーションの力ですね。

出雲 「百聞は一見にしかず」という言葉があるように、今も昔も可視化することは重要です。私たちは見て直観的に理解することで、初めて納得できますから。

PICKUP[PR]