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「法令遵守」への固執が安倍内閣の根本的な誤り

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎 氏

 組織にとっての真のコンプライアンスとは、決して「法令や規則に違反しない」という意味の「法令遵守」にとどまるものではない。「社会的要請に応えること」と広くとらえる必要があるということは、これまでも、繰り返し述べてきた通りだ。それは、組織である以上、企業だけではなく、官公庁、政府においても同様だ。

 ところが、学校法人加計学園の愛媛県今治市での獣医学部新設を巡る安倍内閣の対応は、文字通りの「法令遵守」に固執し、それ以外の重要な社会の要請に目を向けてこなかった。そのような不誠実な対応によって、政権への信頼は急速に低下しつつある。

 加計学園問題は、コンプライアンスと「法令遵守」に関しても、多くの論点を含むものと言える。

「関係法令に基づき適切に実施」を繰り返した安倍首相

 第1に、国家戦略特区の指定によって、安倍晋三首相の「腹心の友」である加計孝太郎氏が理事長を務める獣医学部の新設認可が認められようとしていることについて、「関係法令に基づき適切に実施」と繰り返し強調してきたことだ。

 獣医学部の新設は、過去50年以上にわたり認められてこなかった。それを、安倍首相がトップを務める内閣府所管で、方針決定などについて首相に権限がある国家戦略特別区域法に基づき、大学認可を所管する文部科学省の従来の方針を変更して実現しようとしているものだ。もちろん、法令上は、国家戦略特区法は、諮問会議の決定などの手続きを経て従来の行政の判断を変更することを可能としている。そういう意味で、法令上問題ないことは当然である。

 ここで問題なのは、「法令違反の有無」ではない。(1)獣医学部の新設を認めるべきとの判断が実質的に妥当だったのか、つまり、本当に「社会の要請に応える」ものだったのか、そして、(2)その判断が、公正・公平だったのかである。

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