日本経済新聞 関連サイト

宅配がなくなる日

記事一覧

ドライバーが個宅を訪問する宅配をなくそう

フロンティア・マネジメント 代表取締役 松岡 真宏氏、シニア・アナリスト 山手 剛人氏

18万カ所の宅配ロッカーで宅配荷物の2割をカバー

 ソフトドリンクの自動販売機は明らかに供給過剰であり、最近では消費期限切れ直前の商品が1缶50円といった廉価で売られている光景も散見される。このため、自動販売機1台当たりの販売数は微々たるもので、光熱費(原則として自販機保有者が負担)も差し引いたあとに残る利益はわずかだ。個人や中小企業が自動販売機並み、あるいはそれを若干上回る程度の収益を上げれば十分と考えるのならば、宅配ロッカーの利用回数に応じて宅配企業から受け取る手数料をそれほど高く設定する必要はないはずであり、宅配ロッカーの需給がようやくここでかみ合う。

 こうしてメッシュ状に広がる宅配ロッカーの数が、例えば郵便ポスト並み(コンビニの3倍以上に当たる18万カ所)となれば、年間9億個の収容力となり、宅配荷物の総数(2016年度約39億個)のおよそ2割をカバーできる計算である。EC利用の不可逆的な拡大が続くと考えるならば、さらに大規模な拠点数が必要かもしれないが、宅配ロッカーの保持者にとっての収益回収の見込みさえ立てば、市場メカニズムのみを動力に宅配ロッカーネットワークは自己増殖していくはずである。もし動力が足りなければ、あくまでも制度導入の初期フェーズに限定して、足りない分だけの補助金を国が出すことも一計かもしれない。

 大企業の資本力ではなく、個人や零細企業などのフラットで分散化した参加者が新しい宅配ネットワークを構築していくという未来図は、様々なサービス業や金融業の分野で立ち上がっている「シェアリングエコノミー」と同根と言えるかもしれない。

 メッシュ状に広がる宅配ロッカーのネットワークを効率的に結ぶ「ハブ」となる拠点も増やしていく必要があるだろう。

 図1で示したように、従来の宅配サービスは受取人が自宅にとどまっていることを前提とした「静的(static)なネットワーク」であったのに対して、メッシュ状の宅配ロッカーという新たな接合点が加わった後には、より重層的で、より「動的(dynamic)」なネットワークが出現するという点も特筆すべきポイントだ。

図1◎ネットワークの2つの形

PICKUP[PR]