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「退職行動が上振れする人」は転職に向かない

黒田真行 氏

転職してはいけない人

 米国で行われたウィリアム=ギロビッチによる心理学実験では「自己評価=他者評価の2割増し」という傾向が鮮明に出たそうです。他者からの評価は、その人の好調期と不調期の中間点となり、自己評価は、ピークである好調期を評価点とするために、そのギャップが生まれているとのこと。

 この「自己評価の上振れ」現象は、組織内部や転職行動で、さまざまなミスマッチを引き起こします。年齢が上がるにつれてギャップが増加する傾向もあるため、ミドル世代は特にその傾向が顕著になります。組織内部でギャップが発生した場合は、評価不満という形で顕在化します。「おれはこれだけやっているのに、なぜこんなに低い評価なのか?」「私が陰で頑張っていることを見てくれていない」という、居酒屋の愚痴パターンです。

 この不満が鬱積(うっせき)してくると、自尊心が耐えられなくなって退職するというケースも起こりがちです。その勢いのまま転職活動に入った場合に発生しやすいのが、選職行動の上振れです。

 典型的なものは、希望求人に対する(1)企業規模(2)企業知名度(ブランド)(3)年収水準(4)役職などで起こる上振れです。一定期間にこれが自己修正できないと「応募したい案件がない」「何社応募しても面接に進めない」という現象が起こります。求人選びの段階で視点が上振れすることで、本当は適合度の高い求人が、視界から消えてしまいます。「年収900万円だった部長が、1年後にやむなく時給900円のアルバイトに」という転職パターンは、本人にとっても、企業にとっても、能力を発揮して生き生きと活躍する働く機会を逃す損失です。

 このような状態にある人は、転職に向いていない、もっと言うと転職をしないほうがいいと言ってもいいかも知れません。

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