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この時代を乗り切るワークスタイル改革

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眠れる「主婦の力」無理なく引き出す

ソフトブレーン・フィールド社長 木名瀬 博氏

 結婚、出産後も女性の就業を支援する企業は増えている。ただ、実際には育児のために時短勤務を選ばざるを得なかったり、やりがいのある仕事に就けなかったりする人も多い。優秀な人材を埋もれさせず、出産・育児と生産性の高い働き方を両立するにはどうすればよいだろうか。

 小売店の売り場改善や販促支援を手掛けるソフトブレーン・フィールド(東京・港)は、こうした課題に正面から取り組み、埋もれた主婦の力を掘り起こすことで業績を伸ばしている企業の1つだ。時間でなく業務ごとに報酬を決める「訪問単価制」や、業務を細分化して誰でも働ける仕事を創出する仕組みなど、独自のビジネスモデルを構築。働きたい主婦の意欲と、適正なコストで優秀な人材を活用したい企業のニーズを無理なくマッチングさせている。

 独創的なビジネスモデルはどのように生まれたのか、今までの女性就業支援の取り組みには何が足りないのか、「働き方改革」の議論をどう進めていくべきか。アサヒビール時代の2004年に独立支援制度の第1号として同社を立ち上げ、業容を拡大させてきた木名瀬博社長に聞いた。

時間でなく「業務」に報酬を払う

<b>木名瀬 博氏(きなせ ひろし)</b><br>1988年立教大法卒、アサヒビール入社。長野支店、横浜支社の営業部門などを経て、2002年にアサヒの子会社スマイルサポート(現アサヒフィールドマーケティング)の設立に参画、取締役就任。2004年にアサヒの独立支援制度の第1号としてソフトブレーン・フィールドを設立。2005年から代表取締役社長 木名瀬 博氏(きなせ ひろし)
1988年立教大法卒、アサヒビール入社。長野支店、横浜支社の営業部門などを経て、2002年にアサヒの子会社スマイルサポート(現アサヒフィールドマーケティング)の設立に参画、取締役就任。2004年にアサヒの独立支援制度の第1号としてソフトブレーン・フィールドを設立。2005年から代表取締役社長

――店舗を回って売り場改善や販促支援をする人を「ラウンダー」と呼ぶそうですね。そもそも、どんな仕事なのですか。

 大きく分けて2つあります。1つは小売店に商品を供給する食品、日用品、化粧品などのメーカーから委託を受けて、小売店の店頭でそのメーカーの商品を目立たせたり、手に取ってもらいやすくしたりする業務。もう1つは、スーパーやドラッグストアといった小売店の委託により、売り場を改善する業務です。

 いずれも本来なら、そのメーカーや小売店の従業員がやるべき仕事です。しかし、全国に何万店もある小売店すべてに人を派遣して売り場をチェックすることは難しい。それに新商品は毎週のように発売され、とても人手が追い付かないのが実情です。そこで、当社のようにラウンダーを派遣する専門業者の存在が欠かせなくなっているのです。

――同業他社に比べて、ソフトブレーン・フィールドの特長はどういう点でしょう。

 当社はラウンダーを「キャスト」と呼んでおり、全国に約6万人が登録しています。他社と大きく違うのは、勤務時間に応じて賃金を払うのではなく、業務内容に応じて報酬を払う「訪問単価制」を取っていることです。例えば、1日に4店舗の売り場改善を実施するとします。7時間勤務のフルタイム型ラウンダーの場合、実際の業務にかかる時間のほかに、移動時間がかかります。交通費も必要です。一方、当社では実際の業務ごとに報酬を払います。1人で4店回る必要はなく、店舗に近い場所に住むキャストが回るので移動時間も交通費も発生しません。これは業務を委託するメーカーや小売店のメリットです。

 一方、働くキャストにとっては、業務ごとに報酬が決まっているため、短時間でやれば、それだけ時給が上がる計算になります。空いた時間で、ほかの業務をやることもできるし、育児や買い物に充てることもできます。個人の意欲や能力には差があります。やる気も時間もある人にはどんどん仕事をしていただく。そうでない人はできる範囲でOK。ノルマもなく、成果に応じて報酬を払うことで、やる気を引き出しているわけです。

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