日本経済新聞 関連サイト

長島聡の「和ノベーションで行こう!」

記事一覧

機械も人も「つなげてまとめて」価値を生む

第5回 川野俊充・ベッコフオートメーション社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

 日本型のイノベーション=「和ノベーション」を実現していくには何が必要か。ドイツ系戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーの長島聡社長が、圧倒的な熱量を持って未来に挑む担い手たちを紹介していくシリーズ。第5回は川野俊充・ベッコフオートメーション社長です。

異分野の専門家が集まると化学反応が起きる

長島 聡氏(ながしま さとし)<br>

ローランド・ベルガー代表取締役社長、工学博士。<br>

早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、ローランド・ベルガーに参画。自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くの プロジェクトを手がける。特に、近年はお客様起点の価値創出に注目して、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に従事。自動車産業、インダストリー4.0/IoTをテーマとした講演・寄稿多数。近著に「日本型インダストリー4.0」(日本経済新聞出版社)。 長島 聡氏(ながしま さとし)
ローランド・ベルガー代表取締役社長、工学博士。
早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、ローランド・ベルガーに参画。自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くの プロジェクトを手がける。特に、近年はお客様起点の価値創出に注目して、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に従事。自動車産業、インダストリー4.0/IoTをテーマとした講演・寄稿多数。近著に「日本型インダストリー4.0」(日本経済新聞出版社)。

長島 実はこの対談シリーズのアイデアを与えていただいたのが、川野さんでした。最初の出会いは2015年4月。ドイツのハノーバーで毎年開かれる世界最大の産業見本市「ハノーバー・メッセ」でしたね。

川野 日本から視察に訪れる方々を招いた夕食会を開いたとき、経済産業省の方が長島さんを連れてきてくださいました。ほかに由紀精密の大坪正人社長や取引先の方、メディアの方など20人くらいが集まったでしょうか。当時は「インダストリー4.0」という言葉が出始めたころで、一体それは何なのか、黒船なのか、などなど議論が大変盛り上がりましたね。異分野の方々が共通の問題意識を持って集まると、思いもかけない化学反応が起きる。イノベーションの源泉はこういう出会いにあるのかと気付かされました。

長島 その後、あの時のメンバーを中心に集まるようになり、今は「日本の強みを考える会」という30人くらいの組織になりました。川野さんがいろんな方を巻き込んでくださり、私もすごく視野が広がって、異分野の方々と対談することを思い付いたわけです。

川野 「4.0」やIoTでは、デジタルを活用して機械や設備をどうやってつなぐかを議論していますが、私はあの時の体験から「機械をつなぐ前に人をつなごう」と思うようになりました。同じ分野の専門家だけだと、専門性が高まるにつれてイノベーションのハードルは上がります。また、企業内でプロジェクトを立ち上げるには計画づくりから人、予算の手当て、上役への説明、承認などプロセスが多すぎて、始めるまでに疲れてしまいます。それよりも、異なる立場、異なる能力の人たちがカジュアルに集まった方が新しいアイデアは生まれやすいし、走りながら考える手法も取りやすい。

長島 そうですね。そもそも、川野さんがベッコフというドイツ系の会社に入ったのはどういう経緯だったのですか。

川野 ベッコフはドイツ最大の工業地域であるノルトライン=ヴェストファーレン州にある制御機器メーカーです。EtherCATという産業用イーサネット規格やTwinCATという制御ソフトの開発元として知られ、特にパソコンを使った制御システムの専業として業界でユニークな地位を築いています。1980年にハンス・ベッコフという創業者が自宅ガレージから事業を興し、世界で約3300人、830億円規模の会社に育てました。

 私は大学卒業後、半導体や情報システム、計測器などの会社を渡り歩き、2010年にヘッドハントされました。日本法人を立ち上げる人材が必要だったのです。社名も知らないままハンスと会ったのですが、話を聞いて、その人物にも、技術にもほれ込んでしまいました。EtherCATという技術は非常に洗練されていて、世の中を変える可能性があると思いましたし、地球規模の課題を解決したいというビジョンにも共感しました。

PICKUP[PR]