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なぜお金だけが利息というものを生み出すのか?

東京女子大学現代教養学部 教授 竹内健蔵 氏

どうして利息を払うのか

 預金通帳を見ればわかるように、お金を預ける(貸す)と利息を受け取ることができる。逆に、住宅ローンを考えればわかるように、お金を借りると利息を支払わなくてはならない。消費者が預金通帳や住宅ローンの残高を見ては一喜一憂し、企業が経営を左右する金利の上昇・下落に一喜一憂するのは、いつもの光景である。このように、金利や利息というものは私たちの生活とは切っても切れない(借りている側は「切りたい」かもしれないが)ものである。

 「お金がお金を生む」というのは、考えてみれば不思議な現象である。普通の商品では「商品が商品を生む」というようなことは想像しにくい(そんなことがあるのは農畜産物くらいのものだろう)。しかし、私たちはそんなお金の不思議を特に疑問に思うこともなく、いつも当たり前のこととして利息を受け取り、そして支払っている。

 金利とは一体何者なのか。なぜお金だけが利息というものを生み出すのか。そして金利が上昇したり下落したりするのはなぜなのか。金利が存在する理由、そして金利が上昇したり下落したりする理由は、機会費用の考え方を使えば素朴に説明することができる。

 なお、金利や利息という言葉の他にも、利子、利子率、利率などいろいろな表現があって、これらを場当たり的に使っていると混乱する。そこでここでは、お金がお金を生んだときのその絶対額(金額)を「利息」と表現し、その割合(%)を「金利」とよんで表現を統一することにしよう。

 お金(貨幣)というものは、とにかく便利がよい。いろいろなものが買える(商品と交換することができる)し、逆に自分が持っているものを売ってお金を手に入れることもできる。こうした貨幣の機能は「交換の機能」と呼ばれている。現金や普通預金はいつでもどこでも自由に使え(別の言葉を使えば「流動性が高く」)、それらを使うと簡単に売買ができる。

 いま、ある個人投資家が手元にまとまった現金を持っているものとしよう。その投資家はそれを使っていろいろな商品を購入することができる。ここでは個人投資家のことを考えるので、商品とは主に株式や国債などのいわゆる金融商品のことであり、商品の購入とは投資のことだと考えるとよいだろう。

 たとえば、その投資家は株式を購入することができるし、国債を購入することもできる。堅実に定期預金をするという方法もある。さらに金融商品ばかりでなく、土地を購入することもできれば、自分で起業して利益を上げることもできる。

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