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石澤卓志の「新・都市論」

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「GINZA SIX」が促す銀座のオフィス化

みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

 4月20日にオープンした「GINZA SIX」が大変なにぎわいを見せている。来館者はオープンから18日目の5月7日に150万人を突破し、目標の年間2,000万人を大きく上回るペースだ。同ビルは「松坂屋銀座店」跡地を中心とする再開発であるが、「脱百貨店」をキーワードとしており、収益部分の半分近くが賃貸オフィスとなっている。10月に「松坂屋上野店南館」の建て替えによって誕生する「上野フロンティアタワー」も、建物の半分近くが賃貸オフィスとなる予定で、「脱百貨店」の動きが加速しそうだ。

「脱百貨店」の脱出先は賃貸オフィス

にぎわいを見せるGINZA SIX にぎわいを見せるGINZA SIX

 GINZA SIXは、松坂屋銀座店跡地を含む銀座六丁目10番街区と、隣接する同11番街区を対象に、合計17棟(合計延床面積約7万4,294㎡)のビルの敷地を一体的に整備して建設された。旧松坂屋銀座店の店舗面積は2万5,352㎡だったが、GINZA SIX(延床面積14万7,800㎡)の店舗部分は約4万7,000㎡(共用通路等を含む)と、銀座エリア最大の規模を誇る。

 しかし、GINZA SIXに従前の百貨店の部分はなく、欧米の有名ブランドを中心とする241店舗が、全て賃貸借契約によるテナントとして入居している。GINZA SIXには、「大丸松坂屋」関連のブランドが2店舗入っているが、これらもテナントとしての入居である。また、GINZA SIXは、地上13階地下6階のうち、7階~12階の6フロアと13階の一部の合計約3万8,000㎡(1フロアの貸室面積は約6,100㎡)が賃貸オフィスとなっている。すなわち、GINZA SIXは建物のほとんどが「賃貸ビル」で、ホール(能楽堂)や観光施設(ツーリストサービスセンター等)などを除いた収益部分の半分近くが賃貸オフィスで占められている。

 一方、10月に完成予定の上野フロンティアタワー(地上23階地下2階、延床面積4万1,000㎡)は、大丸松坂屋百貨店が、同ビルの地下1階部分を、隣接する同店「本館」の地下1階フロアと一体運営するものの、それ以外の部分は、賃貸スペースとなる。現在公表されている計画では、1階~6階に「パルコ」、7階~10階に「TOHOシネマズ」が入居し、12階~22階は賃貸オフィスと予定されている。百貨店部分が一部に残されているものの、同ビルも脱百貨店の一例と言える。

 このような状況に対して、百貨店の店舗形態を維持しながら、競争力の強化を目指す動きも見られる。たとえば「三越銀座店」は2015年10月に、5年ぶりの大改装を終えて再オープンした。「三越日本橋本店」は、2018年春までを第1期として、120億円をかけて改装を進めており、さらに2020年までに200億円前後の投資を見込んでいる。

 しかし全体的な傾向として、百貨店の衰退は明らかと言える。百貨店の店舗数は1999年の311店舗をピークに、また、店舗面積は2000年の710.7万㎡をピークに減少傾向が続き、2017年3月には231店舗・582.6万㎡となった(図表1)。

図表1:百貨店の店舗数・店舗面積の推移 注:2017年は、2017年3月の速報値。<br>

出所:日本百貨店協会 注:2017年は、2017年3月の速報値。
出所:日本百貨店協会

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