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「お買い得」の意味を機会費用で説明すると

東京女子大学現代教養学部 教授 竹内健蔵 氏

 機会費用はこうしたことまでも費用として考える。そうなると企業経営上においても、機会費用の考え方が機会損失の考え方以上に重要であることがわかるだろう。もし経営者が会計学的費用ばかりにとらわれ、機会費用の重要性を理解していないとすれば、それは経営者としては失格かもしれない。機会費用は機会損失を含めたより広い考え方であるといえる。これを図で表したものが次の図である。

何を選んで、何を犠牲にするのか

図 機会費用と機会損失の関係

 ここで機会費用を考えるときの注意点を2つ指摘しておきたい。

 第1は、選択肢が2つ以上ある場合である。このときは、選択された選択肢以外の、つまり選ばれなかった選択肢のうちで最も価値の高いものが、選択された選択肢の機会費用となる。

 たとえば、ある人にA、B、C、D、Eという5つの選択肢があったとしよう。その人の選択肢を選ぶ順番(経済学では「選好順位」という)について、Aが最も高く、アルファベットの順番でEが最も低いとする。このとき、その人はAの選択肢を選ぶ。この人のAの機会費用とは、Bという選択肢が採用されていれば実現するはずだった価値である。だから、残りのC、D、Eの選択肢の価値は考えなくてよい。

 理由は単純である。ある人がある選択をするときにはAとBのどちらにするかが重要であって、その選択を行うときには、それ以下の価値しかない残りのC、D、Eを考える必要はないからである。もちろん、何らかの理由でAという選択肢がなくなれば、Bという選択肢が選ばれる。そしてそのときのBの機会費用は、次に価値の大きい選択肢Cが採用されていれば実現されるはずだった価値になる。そして、残りのDとEの選択肢の価値は考えなくてよい。

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