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日本とロシアの関係は「呉越同舟」

藤 和彦 氏

日ロ接近のリアリズム

 欧米の専門家の間でも、「ロシアは2000年前後にはエネルギー資源を中心とする天然資源の輸出国として生まれ変わった」とする見方が一般的である。資源輸出国として生まれ変わったロシアは、エネルギー産業に対して、直接支配ではないにせよ、国家の統制を強める動きに出るのは当然である。

 プーチン大統領は年1回、各国の学者・専門家を招くバルダイ・クラブという催しを開いている。下斗米伸夫法政大学教授はこれに7回も参加しており、最も多くプーチン大統領と面会した日本人の一人である。

 その下斗米氏は「プーチン大統領は、『強いロシアの復活』という課題を呈示したが、そこに見られるのはロシアがもはや超大国ではなく、むしろ崩壊の可能性すら秘めている国だという認識だ」と評している。

 プーチン大統領の在任期間は最長で2024年まで続く可能性があり、現在のロシアはその双肩にかかっている。ロシアは、カリスマ指導者が主導する権威主義的な国家ではなく、民主主義国家の方が望ましいが、地政学的な発想ではこの点を考慮しない。地域における大国間のパワーバランスを冷徹に分析し、それに資するのであれば、権威主義的な国家とも連携するのをよしとするのである。

 ロシアという大国を侮ってはならないが、必要以上に警戒するのも適切ではない。現下の情勢で日本がロシアと連携することは、東アジアのパワーバランスが改善されるなどのメリットが大きい。

 ウクライナ危機を契機に「かつての冷戦の雄であるロシアと提携することに問題がある」との声が日本では聞かれるが、筆者はロシアは東アジア地域において当分の間、経済外交に重点を置くと考えている。

 「パイプライン敷設による日ロの接近を米国は邪魔するのではないか」との懸念もあるが、前述のブレマー氏は「日ロ関係の緊密化は米国にとって大きな問題だとは思わない」としている。

 冷戦時の西独のように、日本がこれまでと同様、米国との同盟関係を大事にしている限り、日ロ間にパイプラインを建設することには特段の問題はないのではないだろうか。

 ロシア軍が国後・択捉両島の駐屯地の整備を加速しているが、その狙いは中国牽制だと筆者は考えている。中国砕氷船によるオホーツク海を経由した北極海進出が常態化し、中国艦船のオホーツク海への進出も始まったことをロシア側は懸念しているのである。

 ロシアと中国は米国の一極支配に対抗するために戦略的パートナーシップを組んでいるが、これまで見てきたように長年敵対してきた経緯がある。

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